浮気もじつは危険! とんかつの食べ方は? 身近に起こりうる“突然死”を防ぐための一問一答

健康・美容

公開日:2016/4/22


『突然死しないのはどっち?』(池谷敏郎/すばる舎)

 人間はいずれ死ぬ。長寿社会とはいわれるものの、不老不死の薬でも開発されないかぎり避けては通れない命題である。そして、人それぞれの死に方は千差万別だ。何らかの予兆があり、投薬治療などを重ねた末に天寿をまっとうすることがある一方、残された家族にとっても大きな問題を抱えるのが「突然死」だ。

 突然死とは、医学的に「直接の死因となる症状が出現してから、24時間以内に死亡すること」である。多くは「心筋梗塞や心室性不整脈、大動脈瘤破裂、脳卒中などがその原因」になるというのは、書籍『突然死しないのはどっち?』(池谷敏郎/すばる舎)だ。

 テレビでも活躍する医学博士・池谷敏郎さんがまとめた本書は、日常生活の様々なシチュエーションから突然死予防のためにとるべき選択肢を、2択問題から教えてくれる1冊。そこで、本書の事例をもとにふだんの生活で心がけるポイントを考えていく。

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問題)とんかつのソースはかける? それともつける?

答)つける。小皿などに盛って少しずつつけて食べるのがよい

 血管内に不純物が溜まり、血流の循環が悪くなる動脈硬化。高血圧の要因ともいわれるが、じつは、塩分の摂取量と密接な関係があるという。通常、塩分を摂取すると血中のナトリウム濃度が上昇する。本来、私たちの身体にはその濃度を一定に保つ機能があり、急激に塩分を摂取すると、許容量を超えないよう血液量を増やそうとする。このとき、ふだんより多くの血液が流れるため血圧が高まるのである。

 先の質問は、それを回避するための選択肢だ。とんかつだけに限らず、調味料には「塩分が多く含まれているものが少なくありません」と本書はいう。参考までに、大さじ1杯(15cc)あたりの各調味料の塩分量は以下のとおりである。

・薄口しょうゆ……2.9グラム
・濃口しょうゆ……2.6グラム
・ウスターソース……1.5グラム
・中濃ソース……1.1グラム

 大さじ1杯分からすると、想像以上に塩分量は多い。とんかつでいえば、衣がひたひたになるほどソースを染み込ませたもののほうがご飯も進みそうだが、急激に過剰な塩分を摂取するのは禁物。身体への負担をやわらげるためには、ちょっとずつ小皿のソースを付けながら味わったほうがいいというわけだ。

問題)朝の洗顔は冷水? それともぬるま湯?

答)ぬるま湯。歯磨きもぬるま湯が◯だけど、熱すぎてはダメ!

 人間の体には心臓や消化器官などを自発的に動かす「自律神経系」がある。この自律神経系のうち、運動時や興奮時の働きを司るのが「交感神経系」。ゆったりしたときの働きをもたらすのが「副交感神経系」だ。冷たいものに体がふれたときの反応を「寒冷刺激」と呼ぶが、この刺激により「交感神経系」が緊張すると血圧が急激に高まってしまうおそれがある。

 特に朝方の起きたては、副交感神経系から交感神経系に切り替わる時間帯のため自律神経系が不安定な状況にある。そのため、朝の洗顔や歯みがきはぬるま湯が好ましいというわけである。特に、ふとんの中と室温の差が大きい冬場は要注意。ただし、あまりに熱すぎると「熱刺激」により血圧が高まってしまう危険性もあるので、人肌ほどの適度な温度を心がけよう。

問題)愚問だけど……浮気は安全? 危険?

答)浮気は禁物。ドキドキが収まらない“秘め事”は体にとっても危険!

 倫理的にまずいのはいうまでもないが、じつは、体にとってもよくない行為である。本書では「浮気は突然死を引き寄せかねないたいへん危険な行為」と念を押すが、まず、浮気している人は秘密を隠そうと常に緊張した状態にある。これもまた、先ほどの「自律神経系」が関わっており、洋服にしみついた匂いを消そうとしたり、うかつに何か口にしないように気を配ったりと、とにかく証拠を隠そうとするがあまり、家にいても「交感神経系」が過剰に働き、血圧が高くなってしまう。

 また、恋人や配偶者への罪悪感から心理的ストレスも大きい。ウソを重ねて、こそこそと二重生活を続けるのはたがいの関係だけではなく、体にとっても大きな負担になる。本書で特筆されているのは、男性が若い女性に惚れ込む事例で、相手を満足させようとがんばりすぎることで危険性もより高まり、実際、救急医療の現場でも、浮気中に脳卒中や心筋梗塞で倒れる人も少なくないという。体への影響だけでないのはもはや愚問だが、くれぐれも“ゲスい”行為はやめよう。

 不意の別れというのは、家族にとっての負担も大きい。突然死は誰にでも起こりうるため、日常生活ではできる限り予防策をとっておくのが吉だ。本書では他にもたくさんの事例が掲載されているが、ぜひ1度、自分の生活を振り返っていただきたい。

文=カネコシュウヘイ