ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、孫正義…ビジネス界のカリスマたちから学ぶ、行動の優先順位の付け方

ビジネス

公開日:2016/4/26


『優先順位の王様』(松本幸夫/泰文堂)

 毎朝、今日1日をどう過ごしたらいいか、何から始めたらいいかなどと悩んでいたのでは、1日を無駄に過ごしてしまうかもしれない。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグといった世界を代表するビジネス王も、藤田田、孫正義、柳井正など世界に名を知られる日本企業の王者たちも、共通するのは常に優先順位を考え行動していること。そのため、彼らの行動には無駄がない。今回はビジネス界のカリスマたちがどんな優先順位をつけて行動しているのか、その極意を紹介する本『優先順位の王様』(松本幸夫/泰文堂)を取り上げる。

王様はブレない軸を持っている

 この本を読み始めてみると、前半はビジネスの世界で誰もが成功者と認めているような人々、例えばスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、日本人なら、柳井正や藤田田といった人々がいったい何を最優先とし、どのような行動をとってきたかという話が書かれている。もちろん、世界の名だたる経営者たちといえども何を最優先としてどのような優先順位にしてきたかは人それぞれ微妙に違っていた。しかし、それぞれがきちんと軸になる考え方を持っていて、それに したがった生き方をしていることはわかる。例えば、スティーブ・ジョブズなら、自分のしたいことを貫く姿勢を持ちながら、もし今日が地球最後の日ならどちらを選ぶかという選択の仕方をしている。一方、ビル・ゲイツはやろうとしていることが果たして社会のためになるかどうかという視点から物を捉えている。このようにいうと、スティーブ・ジョブズは自分のためになるかどうかで物事を判断しているように見えるが決してそうではない。きちんと「社会に役立つ」という高い理想を持ったうえで、自分にとってやるべきことかどうかという判断基準がある。王様たちの優先順位は彼らの生き方そのものにあらわれていて、ブレない軸があることがわかる。

20%に80%の時間と力を注ぎこむ

 後半は具体的な優先順位のつけ方について書かれている。その中で最初に取り上げられていたのは『80:20の法則』についてだった。世の中の80%の富を、20%の富裕層が独占しているという話だ。そこから話が発展して、本当に自分でやらなければならないことは全体の20%くらいしかなくて、残りの80%は優先順位の低いものや、自分でやらなくてもよいことだという話になっていく。そして、成功する人は、その大事な20%を瞬時に見極めて、多くの時間をつぎ込むことができるということが述べられていた。やるべきことに集中するから成果を上げることができ、無駄な時間を使わないから自分がしたいことをするための時間も十分に作り出すことができる。優先順位の王様たちは、時間のやりくりも抜群にうまいのだ。

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運は天に任せてはいけない

「運を天に任せる」という言葉があるが、優先順位を決めるうえで決してやってはいけないことだとこの本の中には書かれていた。やるべきことを自分で見極め、やらなくていいことはきちんと見切るという判断をすることが「優先順位をつける」ということだから、最初から何もやらずに、自分がやるべきことをコイントスで決めてしまっては優先順位も何もあったものではない。もし、自分がやるべきことは全てやり、全力を出し尽くしたあとで、最終的にどう転ぶかを天に任せるのなら問題はないが、自分にとって大事な判断を運任せにはしないという姿勢が大事だという話だ。

王様が王様になり得た理由

 物事にいくら優先順位をつけても、それを実行に移さなければ何の意味もない。優先順位を考えただけでは絵にかいた餅にすぎないからだ。考えたことを実行に移すためには「決断力」が必要だ。王様たちはよいタイミングで決断することができたからこそ成功することができたと言える。

 ビジネス界の王様たちが王様になり得たのは、目の前にある物事のうち何が一番重要で何に時間をかけなければいけないかを瞬時に判断し、自分がすべきこと以外は他人に任せると決めて実行したからなのかもしれない。

優先順位のつけ方は生き方そのもの

 ビジネス界のトップを行く王様たちは、生きる姿勢にもブレがない。毎日の仕事だけでなく、生き方の中にもきちんとした優先順位があり、それにしたが って行動をしている。王様だから優先順位をつけるのがうまいのではなく、優先順位のつけ方がうまく、それをしっかり行動に結びつけたからこそ、王様となったに違いない。それなら、まずは自分の身の回りにあることから優先順位をつけ、きちんと行動に移すところから始めてみよう。そして、一歩ずつ王様への道を歩いて いってみてはどうだろうか。

文=大石みずき