「1日あと3時間あればな…」が口癖のあなたへ! 1日が27時間になる人生・仕事の超整理法とは?

ビジネス

公開日:2016/4/27


『あなたの1日は27時間になる。――「自分だけの3時間」を作る人生・仕事の超整理法』(木村 聡子/ダイヤモンド社)

 休んだ感覚のないままに朝を迎え、始業ギリギリに会社に着くと、終電まで続く残業、帰宅してからのダラダラタイムが唯一の癒し…そんな、「仕事に追われている感」の否めない毎日を送っている方にオススメしたい本がある。それが、『あなたの1日は27時間になる。――「自分だけの3時間」を作る人生・仕事の超整理法』(木村 聡子/ダイヤモンド社)である。

 毎日仕事に追われていると、「1日あと3時間あればな…」という言葉が、つい口癖になってしまう。その3時間とは、あと3時間でもあれば仕事が進むのに、という3時間かもしれないし、仕事のあとに本当なら持ちたい自分のための3時間かもしれない。とはいえ、現実的に考えて、1日は24時間という決められた原則は、変わるものではないのだ。

 今回紹介する本書で提唱されているのはもちろん、24時間に3時間を単純にプラスという無茶なものではなく、効率の悪い24時間の中のムダな習慣を改善し、カットすることで、27時間分の余裕を手に入れるためのメソッドである。

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 そんな本書の提案するプログラムは、1週間ごとにゴールが定められており、全部で4週間続くものとなる。

Week1 1日のリズムを整える
Week2 仕事の渋滞をなくす
Week3 仕事環境を効率的にする
Week4 仕事をスピードアップさせる

 まずは日々の生活習慣の改善に始まり、その習慣を形成していた「考え方」を変えていく。そのあと、仕事の流れをスムーズにし、効率化とスピードアップに着手する。このような4週間のプログラムを通して、今の生活に「自由に使える3時間」が加わった時、人生をより楽しむための多くの自由と選択肢が手に入るのだ。

最初は本当に簡単なことから始めます。「10分でもいいから早く出社する」「短時間で深く眠り、疲れを取る」など、生活リズムの改善から入ります。最も恐ろしいのは、残業や長時間労働の「習慣化」であり、それを当然のこととしている「考え方」なのです。

 例えば、1週目の「1日のリズムを整える」ためのプログラムの中には、「残業をやめるためのマインド作り」という項目がある。

 残業に関して「自分が早く帰りたくても、みんなが残業している…」という遠慮や、「今日のうちに終わらせておかないと…」という仕事観を持っている人は多いのではないだろうか。そして、この感覚が自分の中に染み付いていると、なかなか残業の習慣は変わらない。著者の木村氏は、残業をやめるポイントとして、このようなことを提唱している。

ポイントは2つ。「与えられた仕事はきっちり終わらせる」「前業を習慣化し、『あいつは朝早くから仕事をしている』という印象を与える」。

 これさえ押さえておけば、最初は白い目で見られても、じきに賛同者が現れてくるというのだ。

 しかし、いざ残業をカットしようと決意すると、人間関係や後ろめたさ以外に、「残業代だって収入の一部だし…」という問題が発生する。残業カットは逆に困ると考える人に向けた、残業代にしがみつく必要がなくなる考え方なども紹介されている。

 残業をやめるマインドの持ち方にも、残業代にしがみつくのをやめる方法にも、共通しているのは「効率の悪い仕事の仕方やマインドを、当たり前のものとして考えるのをやめる」というものだ。一度、その悪循環を生み出している習慣やマインドを疑うことからしか、その習慣を変えることはできないのだ。

 この他にも、「9割の人がハマる仕事の渋滞とは?」「一年で150時間!『物を探す時間』から解放されよう」「『時間の予実管理』でどんどん時間が増えていく」…など、滞る仕事へのアプローチ方法や、環境の効率化、仕事の高速化を実現させるためのメソッドなどがあり、充実したコンテンツとなっている。

 本書は、「あなたの24時間は本当に24時間分の価値があるのか?」「あと3時間分の自由は、本来手にできるはずなのでは?」ということを、真正面から問いかけてくる。頭ごなしに「これは良くない」というだけでなく、例えば残業の話でいうならば、「残業をやめて帰りたいと言っても、残業代に頼っているところもある」といった、隠れた本音まで見破って、解決策を提案してくれる本書は、生活習慣と仕事への向き合い方をリセットし、人生の余裕を取り戻させてくれそうな1冊だ。

 しかし、どれもこれも、「1日を27時間にする覚悟」がない人には、響かないメソッドである。「あと3時間あればな…」が口癖になっている人には、ぜひ、1日を27時間にしたいという覚悟を持って、本書で紹介されている数々のメソッドと、マインドに触れてみてほしい。

文=松尾果歩