あなたの地元の郷土料理は? 日本全国の郷土料理を集めたレシピ本【作ってみた】

食・料理

公開日:2016/5/11

『ところ変われば食変わる──地元レシピ42 ジャパめし。』(白央篤司/集英社)

 あちこちで開催される物産展を覗いていると、同じ国内の食文化なのに「何これ!?」と思うものに出くわす。そして自分では普通だと思っていたものが意外と知られていなかったりもする。だからこそ、「食」は面白い。そんな日本各地の料理を集めた『ところ変われば食変わる──地元レシピ42 ジャパめし。』(白央篤司/集英社)という本が登場した。

 この本は、日本各地の郷土料理“ジャパめし”を自宅で簡単に楽しめるレシピ本。テレビやネットでメジャーになりつつある郷土料理も多いが、まだまだ知らないものもたくさんある。そこで、本書の中から気になったジャパめしをいくつか作ってみた。

佐賀県「シシリアンライス」(P.22、P.24)


 まずは、佐賀県の「シシリアンライス」。食べやすいサイズに切った牛肉と玉ねぎを炒め、焼肉のタレで味付けし、お皿にご飯、サニーレタス、トマト、コーンとともに盛り付けてマヨネーズと海苔をかければ完成。

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 イタリアの国旗を思わせる色からシチリアの名が持ってこられたという説もあるが、由来ははっきりとはしないそう。また、使用する肉は豚肉や鶏肉、イノシシ肉など幅広く、「味付けした肉+生野菜+マヨネーズonライス」ならOKとのこと。焼肉のタレで味付けされた肉とマヨネーズでボリュームもあり、野菜もたっぷりでサラダ感も味わえるのが嬉しい。一皿で大満足できる一品。

徳島県「そば米汁」(P.26、P.28)


 続いて、徳島県の「そば米汁」。そば米とは、蒸して殻を取ったそばの実を乾燥させたもの。あまり馴染みもなく、スーパーでも売られていなかったのでネットで取り寄せたのだが、徳島県民にとっては「軽くちょっと食べたい時に」「夜食にぴったり」と身近な料理なのだとか。作り方は至って簡単。にんじん、ちくわ、鶏もも肉、いりこ出汁、酒、みりん、薄口醤油、塩でスープを作り、茹でたそば米を入れてひと煮たちさせるだけ。

 筆者はそば米自体初めて食べたが、本書にある通り、「さらさらいけるライトなお茶漬け」という言葉がぴったりだった。食材もシンプルながら出汁がよく出るものばかりなので、非常に奥深い味わい。そば米をもっと全国展開してほしくなった。

島根県「うずめ飯」(P.30、P.32)

 そして最後は、まさかのおかずが下にある丼もの、島根県の「うずめ飯」。丼ものというと、ご飯の上におかずがのったものを想像するが、これは逆。名前も、おかずを「埋める」というところからきているそうだ。賽の目に切った干ししいたけ、にんじん、絹ごし豆腐を、干ししいたけの戻し汁、出汁、薄口醤油、みりん、酒で煮込み、三つ葉を加える。あとはそれを茶碗に入れてご飯で埋め、海苔と山葵をのせれば出来上がり。

 おかずが下から出てくるので、何だかワクワク感がある。また、具材が汁気とご飯を分けてくれるので、ご飯が汁を吸いすぎないというメリットも。しいたけの出汁と三つ葉の爽やかさが山葵ととても相性がよく、いくらでも食べられそうな味。

 各地の郷土料理というと、昔から伝えられてきた日本食を想像しがちだが、紹介したシシリアンライスや石川県の「ハントンライス」(P.23、P.25)のように、郷土料理も日々進化しているようだ。この『ところ変われば食変わる──地元レシピ42 ジャパめし。』に掲載されているもの以外にも、多くの“ジャパめし”が存在する。旅行に行った際には、その土地ならではの料理を探してみると、新しい発見があるかもしれない。

文=月乃雫