直木賞・池井戸潤の華麗なる“履歴書”

文芸・カルチャー

2011/9/5

池井戸潤さんの『下町ロケット』(小学館)が第145回直木賞に選ばれた。
  
池井戸さんは、慶応大学卒業後、三菱銀行(当時)に入行。95年に退職し、コンサルタント業やビジネス書の執筆などを手がけてきた。98年には『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。ミステリー小説や自身の職歴と経験を活かし、企業小説やサラリーマン小説を数々発表してきた。  
  
2006年には、巨大企業の「リコール隠し」が罪もない人の命を奪い、罪もない人の生活を破壊していく様を緻密に描いた物語『空飛ぶタイヤ』(実業之日本社)が「泣ける企業小説」としてヒットし初の直木賞候補に選ばれた。2009年に刊行したゼネコンの談合問題をテーマにした爽やかな青春小説『鉄の骨』(講談社) で、再度直木賞候補に選ばれ今回が”3度目の正直”の受賞となったのだ。
  
受賞記者会見で池井戸さんは自身の文学性について問われると「人間の生き様を書くのが文学だと思う」と話し、「自分の小説を読んで明日からがんばろうと思っていただければこんなに嬉しいことはない」と受賞の喜びを語った。
  
『民王』(ポプラ社)を刊行した際のダ・ヴィンチ2010年4月号のインタビューでは、「新しいもの、僕が書く意味があるもの、豊穣な物語。この3つがいつも小説を書くときの僕のテーマです。どんなに問題意識に根づいていても、人の心に傷をつけるような、チマチマした物語は僕は好きじゃない」と話している。  
  
今後もサラリーマン小説を書いていくという池井戸さん。「これからも、読み終わったあとにスカッとする小説を書いていきたい」と語った。
  
なお、受賞作『下町ロケット』は8月よりWOWOWでドラマ化が決定している。
  
池井戸潤さんの電子書籍は以下の2冊が発売されている。