『ぼのぼの』好きは悶絶!!! 「ぼのぼの」も「アライグマくん」も「シマリスくん」も赤ちゃんだった時代

マンガ・アニメ

2016/5/22


『ぼのちゃん』(いがらしみきお/竹書房)

 平日よりも若干ゆとりのある休日の電車では、抱っこひも やバギーで子どもを連れたお父さんが目に入る。本書『ぼのちゃん』(いがらしみきお/竹書房)は、そんな休日の風景を見た時のように心をほのぼのさせてくれる、オールカラーの日常4コマ漫画だ。

 登場人物は動物のお父さんと子どもたち。ラッコの「ぼのぼの」だけでなく、アライグマくんやシマリスくんら、連載30周年を迎えた漫画『ぼのぼの』の人気キャラクターも、赤ちゃんとして登場する。

「ぼの、おとうさんごはんとってくるから、ここにすわっててね」そう言われても、手に持った貝の重みで後ろに倒れてしまうほど、生まれたばかりのぼのちゃん(ぼのぼの)は何もできない。

「さぁ、好きなものを食べてね」おとうさんが、魚や貝を選べるようぼのちゃんの目の前に置くと、手にしたのは石ころだ。無邪気に口を開けるぼのちゃんに「それはだめ!」とダッシュで駆け寄るおとうさんの、心配は尽きない。

 一緒に遊んだり、話す練習をしたり、立つ練習では赤ちゃんの天然の無邪気さにおとうさんが困惑する。ぼのちゃんの手に手を添えて立たせ「今度は立って歩く練習だよ」「いいかい? 手をはなすよ」「ぱっ」と手を放すおとうさんにぼのちゃんは、ぺたんと座って「ぱっ」とおとうさんに習い、手を放す練習をしてみせるのだった。

 ぼのちゃんの怖いものはカニや、高すぎる「高い高い」。おとうさんは「カニが来たらこれでやっつけて」とぼのちゃんに枝を持たせる。少し離れた道を横切るカニに向けてぼのちゃんが「ぶ~ん」と枝を投げれば、当たらなくても、通り過ぎるカニを一緒に見つめながら「よ~しやっつけた~」と褒めるのだった。「高い高い」では、ぼのちゃんを喜ばせようと思いっきり高く体を持ち上げる。「あ~ん、あ~ん」と大泣きするぼのちゃんに「あ、こわかったかい?」これくらいならいいのかい、とぼのちゃんと共におとうさんも成長していく姿が微笑ましい。

 ぼのちゃんとおとうさんが森を散歩していると、シマリスの親子に出会う。ハイハイが得意なシマリスくんが勝手にどこかに行ってしまわないように、ヒモをして練習をしていたのだ。

 子どもをヒモで繋いでいることに驚くも「楽しそうだからいいのかもしれないね~」おとうさんがぼのちゃんに言う。シマリスくんのハイハイする姿がかわいい と、ぼのちゃんにもヒモをして「よ~し、ぼのもハイハイしてみよう」と練習させようとするおとうさん。ぼのちゃんはしくしく震えて泣き出す。対して、シマリスくんは自分を縛るヒモがないと「え~んえ~ん」と大泣きしてしまうのだった。

 ぼのちゃんとおとうさんが川を散歩していると、よちよち歩きでアライグマくんがやってくる。「お~」と言いながら歩いては転ぶアライグマくんは、まだ上手に歩けないが、転ぶ時はなぜか笑いながら倒れる面白い子だ。まだ立てなかったはずのぼのちゃんに、勝負心が芽生えたのか、アライグマくんとの「どっちが長く立っていられるか競争」で見事勝利する。

 アライグマくんのお父さんからアライグマくんを少し預かることになった、ぼのちゃんのおとうさん。「べちゃ」と倒れるアライグマくんの真似をしてぼのちゃんも「へちゃ」と重なって倒れる「倒れっこ」や川に足を入れてばたばたする遊び、楽しそうなぼのちゃんとアライグマくんを見て、おとうさんも一緒になって思いっきり遊ぶ姿にキュンときた。また、子どもたち それぞれの個性光る性格や特徴が楽しい。

 あとがきで、作者のいがらしみきおさんは、

世間の女のひとは、あらゆる賛辞を「かわいい」というひと言で片づけてしまいますが、私が感じる、祝福とかあこがれとか畏敬とかも、まとめて「かわいい」になってしまうのでしょうね。そうです、「ぼのちゃん」はかわいい漫画にしたいです。それからなにか新しい「かわいい」も見つけられるといいな、と思っています。

 と書いている。そんな著者の「かわいい」がぎゅぎゅっと詰まっているので、読みながら声をあげたくなるほど、とことん「かわいい!」本書は、一読の価値ありだ。

文=トトノ うさき

初出
ぼのちゃん
『月刊まんがライフオリジナル』
2015年8月号、2015年12月号~2016年4月号
描き下ろし

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