『あの花』、企画当初はドタバタのエロ要素が入っていた

マンガ

公開日:2011/9/5

 ファンタジー作品も数多く手がける人気脚本家・岡田麿理、初の完全オリジナルアニメ作品『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は、高校生たちの、ひと夏の群像青春ストーリー。   
  
ジブリの『おもひでぽろぽろ』や『海がきこえる』といった、現実の都市や人間をリアルに描写する「リアル系アニメ」の系譜につならなる傑作作品の一つになった。  
  
 脚本を手がけた岡田さんは、作品についてこう語る。 「同じ敵を倒したいから、同じ目標があるから仲間になるとかじゃなくて。子どもの頃、よくわかんないけどつるんでた友達の感じを書いてみたいなあと思ったんです。あと、子どもの頃に流れる時間のスピード感とか、濃さを書いてみたいなって。その2つの要素を合体させるために、めんま(主人公)の存在を考えました。幽霊というファンタジー要素は、後からくっつけたって感じなんですよ」  
  
 企画コンペが通ったところで、岡田さんは監督の長井龍雪、キャラクターデザイン&総作画監督の田中将賀に声をかけた。 「初めてオリジナルをやる時は絶対、二人に声をかけたいと思っていました」  
  
 ライトノベル原作のアニメ『とらドラ!』で組んだチームが、ここで再集結した。  
  
 「一番最初に二人に見せた企画書では、まだまだいろんなところで私の感情が揺れてる企画だったんです。性の春と書いて“性春”みたいな、ドタバタのエロ要素が入ってたり。でも、最初の打ち合わせで二人が言ってくれたのは、“友情の話に特化しちゃっていいじゃん、余計なことを付けずにベタでいけばいいんじゃない?”って。“あ、それでいいんだ”って思ったんですよ。その時ですね、私にはこのホンが書ける、と思ったのは」  
  
(ダ・ヴィンチ8月号 「『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が僕らに教えてくれたこと」より)