モチベーションを一瞬で上げられる!? 英国人リーダーシップ・コーチが教える「結果を出す人になる方法」

ビジネス

公開日:2016/5/27


『瞬間モチベーション―結果を出す人の驚くべき思考法』(シャンタル・バーンズ:著、藤原朝子:訳/ダイヤモンド社)

「モチベーションを一瞬で上げることができる」と言われたら、どう思うだろうか。仕事をしていると、やらなくてはいけないのに、どうしてもやる気が出ない、つまりモチベーションが上がらない、ということが多々ある。仕事以外でも、家事であったり、様々な手続きであったり、時間はあるのに面倒になってしまうこともあるだろう。そんな時、一瞬でモチベーションを上げることができれば、仕事もプライベートもうまくいきそうだが、果たして可能なのだろうか?

瞬間モチベーション―結果を出す人の驚くべき思考法』(シャンタル・バーンズ:著、藤原朝子:訳/ダイヤモンド社)は、それが可能だと断言している。世界中のビジネスパーソンにアドバイスを行うリーダーシップ・コーチでありメンターである著者によれば、「仕事ができる人」になるために一番重要なことは、実はとても簡単なことだそう。それは、思考だ。

 特別なテクニックは必要なく、思考の働きを理解すればモチベーションアップや成功につながる。本書を読むだけで、モチベーションを上げる方法を自然に習得できるのだ。具体的なハウツーは記載されていないが、代わりに実際のエピソードや調査データ、著者自身の体験談などが盛り込まれ、読者が内容を理解する助けとなっている。

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 モチベーションは、そもそもどこから発生するのだろうか? これについて、著者は人間の内側から生まれるものであると指摘。そのため、例えば社員の士気を上げようとして目標やインセンティブを用意しても、それが直接モチベーションアップにつながるわけではない。人はそれぞれ考え方や感じ方が違うため、全員が同じ反応を示すこともないと言う。

 では、本書で可能であると断言されている、一瞬でモチベーションを上げる方法とはどんなものだろうか? それは、思考と感情の関係を知ることだ。著者によれば、成果につながるサイクルは、思考・感情・行動で成り立っているとのこと。例えば、「こんなの無理」だと思うと(思考)、不安になり(感情)、躊躇や遠慮をして(行動)、悪い結果になる。このサイクルを理解したうえで、思考を変えることができれば、良い結果につなげられるのだ。

 仕事の成果が、思考や感情ではない他の要因に左右された(と思っている)場合、それも思考がそう捉えているだけ。そのため、物理的な要因などをコントロールする必要はない。必要なのは、原因が外にあるという考えを一掃して、今という瞬間に集中することなのだ。

 同様に、著者はストレスも思考が生み出すものだと言及。思考の仕組みに気づくことができれば、ストレスを感じることなく、仕事で成果を出して、人生を楽しむことができると述べている。

 本書は2部構成となっており、1部では思考の仕組みを理解するための解説を行い、2部では「結果を出す人になるための8つの方法」と題して具体的な提案がされている。

 考え方そのものを変えるのではなく、あくまでも思考を理解することが大切だと指摘する著者。そうすることで、自然とモチベーションを上げる思考ができるようになるのだ。確かに、極度の緊張状態の時など、「大丈夫」と自分に言い聞かせることがあるが、あれは、「ダメかも」という思考から「大丈夫」という思考に変えようとしているのかもしれない。ということは、思考の働きを理解していれば、最初から「大丈夫」と考えられるようになるだろう。

 モチベーションが上がらずに苦労した経験のある方は、本書を参考にしてみてもいいかもしれない。思考の仕組みを理解すれば、結果的に感情のコントロールにもつながり、仕事の成功だけでなく、プライベートも充実させることができそうだ。

文=松澤友子