小松左京さんが語った「SF作家だからできること」

文芸・カルチャー

2011/9/5

 日本を代表するSF作家の小松左京さんが7月26日に亡くなった。  
  
2003年8月号のダ・ヴィンチには、長年興味を抱いてきた与那国海底遺跡を初めて訪れた小松左京さんのインタビューが掲載されている。  
  
 「小説のための取材」というより、まず好奇心ありき、で行動するという小松さんは、70年代にもイースター島やアトランティス伝説もささやかれる地中海サントリーニ島遺跡も訪れている。  「子どもの頃に世界文学全集で、ダンテの『神曲』を読んでね、その地下の描写に夢中になった。その影響で、地球の地殻変動に興味を持つようになったんだ。イタリアにはポンペイの遺跡など、地殻変動や火山の噴火で一瞬にして消滅した文明がたくさ発見されている」   
  
 遠い過去に滅びた文明の記憶は、ヨーロッパでは洪水伝説と共に語られることが多い。だが、歴史は常に中央の論理で語られがちなものだ。未だ発見されていない遺跡や資料は、今後も十分見つかる可能性がある。  
  
 「歴史なんて、たった1つの大発見であっという間に塗り替えられてしまうんだよ。つい最近も、弥生時代の年代は500年早まるという発表があったしね。かつて受験でその部分を間違えた人は、俺の人生を返せといいたくなるだろうな(笑)」  
  
 小松さんの歴史への想像力、疑問は尽きることはない。だが、小松さんが最もこだわっている問いは、古代の人々が「なぜ」これだけの建造物を造ったのか、ということ。  
  
 「それは精神性の問題でもありますね。僕はそれに最も惹かれるし、それを書いていくべきだと思っている。科学的な検証ももちろんだけれど、過去から伝えつがれてきたさまざまな迷言や伝説、ファンタジーの類にも必ずその精神性は伝えられている。今後はその両方の視点を持っていかなくちゃならないと思うね。学者は<証拠>がくなちゃ何も書けないけど、SF作家ならそれができるからね」  
  
(ダ・ヴィンチ2003年8月号より)