“できる人”は人の評価なんて気にしない! 不安なときこそ単純作業!脳科学者・茂木氏が教える本当に「結果が出せる」人になる方法

ビジネス

公開日:2016/6/6


『もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかい方』(茂木健一郎/学研プラス)

 仕事で学業で趣味で…、様々に結果を出したいと思っているなら、脳を「ポジティブ」に使いこなすことをオススメする。「ポジティブ」というと、「ポジティブ・シンキング」という言葉が思い浮かぶだろう。でもそれとはちょっと違う。

「ポジティブ脳」を提唱するのは、脳科学者の茂木健一郎氏。新著『もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかい方』(学研プラス)で、思いのままにパフォーマンスを出すためのメソッドを紹介している。

ありのままの自分なら結果を出せる

 では、結果を出す「ポジティブ脳」とはなにか。それは、ひと言でいうなら、「ありのままの自分で、なすべきことに集中すること」。快・不快の感情に捕らわれたり、人に合わせてストレスを抱えたりすることなく、常にフラットな気持ちでいること。そして、できることをすぐに行動に移すことだ。

advertisement

 言うはやすしだが、なかなか実践するのは難しい。だが茂木氏は、具体例とともに「ポジティブ脳」の成り方を説明している。

 まず、「感情に捕らわれない」。これは難しいだろう。人との相性もあるし、重大なプロジェクトを任されているなど、失敗できない局面では、どうしてもネガティブな感情に支配されがちだ。

 ネガティブになると、「失敗したらどうしよう」と思考が停止し、行動も滞る。これでは結果は出せない。

 だが茂木氏は言う。そもそも人間にはさまざまな感情が湧き起こるもの、それを「否定も肯定もせず」認めること。これを「メタ認知」と呼ぶのだが、自分自身を客観的に理解する行為。これを行うべきだと。
 すると、心中に変化が起きるという。

ただネガティブな感情に惑わされていたときには生まれなかった「新しい現実」が目の前に出現します。そうして、あなたの人生はポジティブな方向へと変化していくのです

 自分を客観視することによって「新しい現実」が現れるとあるが、これが重要である。

たった5%とみるか、95%の余力と見るか

「ポジティブ脳」のもうひとつの要素「なすべきことに集中する」。なすべきこととはなにか? 目的を達成するためには、なにかの「アクション」は不可欠だ。なにもせずに祈願が成就する確率は低い。だったら、失敗の確率が高くても何かをすべきだ。
 その「なすべきこと」とは、ひとつの視点からは生まれてこない。

 ある政党の指導者がいるとする。その政党の支持率は5%であった。それを、「たった5%」と読むか、「95%も潜在的な支持者がいる」と考えるかでは大違いだ。

 リストラされたこと、受験で落ちたこと。これを世間一般の常識から見ると、「失敗」とみるかもしれない。けれど、見方を変えれば、「会社に捕らわれず活動ができる」「別な学び方を考えるチャンス」などとも考えることができる。
 常識や思い込みを外したとき、自分の「なすべきこと」が新たに見えてくる。これこそ「ポジティブ脳」である。

 そう、茂木氏の奔放な発言も、この「多面的な視点」を常に欠かさないために、「フラット」な心境でなされているものなのだ。「学者らしい」「社会的地位に見合った」などと、他人の決めた枠組みのなかで発想していたのでは、新たな発想は得られない。
 常日頃から、「自分基準」で行動することが大切と解く。

どうしても不安なら単純作業を

世の中の多くのことは、解釈の仕方によっては、運が良いとも解釈できるし、悪いとも解釈できるということです。良いと思った方向にアクションをおこせるかどうかが重要なのだと思います

 

 しかし、不安に捕らわれるとどう動けばいいのか分からないこともある。そんな不安なときこそ、「単純作業」をお勧めするという。不安に注意を向けないためには、「なんでもいいから他のことに注意を向けること」。脳のリソースは作業へ向けられ、不安を解消する効果が期待できるという。

 例えば、会社の存亡がかかっている、商談の返事を待っているとき。不安で何も手につかないかもしれない。けれどそんなときこそ、「今、確実にできること」を手につけるのだという。
 例えば、取り引き先から問い合わせが来たときの質問に応えられるよう、応答マニュアルを作成する。誰がいつ訪問しても良いように、オフィスの整理整頓やトイレ掃除などを行う。

 自分ではコントロールできない大きな問題に執着するのではなく、解消できる小さな問題から手を付けること。

 結果を出せないと悩んでいる人の多くは、「何もできない」でいることが多いのではないだろうか。それでは、何も残せない。その元をたどると、自分嫌いであったり、無意識のラベリングが原因であったりする。
 この本には、頑固にネガティブ発想をする人が、自由に発想できる脳へと転換できる具体例がまだまだ紹介されている。

何もしないよりは、失敗して挑戦したほうがいい——

「ポジティブ脳」とは「行動するための脳」。あなたがなぜ行動に移せないのか、本書にヒントが隠されているだろう。

文=武藤徉子