「部屋干し臭」どう防ぐ? プロ直伝の防カビ対策で、梅雨こそカビをやっつけろ!

生活

2016/6/8


『菌・カビを知る・防ぐ60の知恵』(日本防菌防黴学会/化学同人)

 とうとうやってきた。梅雨の季節だ。毎日PCとにらめっこしている私でも、どんよりとした空が続くと、あまりいい気分ではない。じめじめした日々に、もう1つ厄介な敵が現れる。カビだ。私は以前、浴室のシャワーカーテンに生えたカビに困らされたことがある。何度掃除をしても2週間で元通りだ。私はフンガイし、しこたまパイプクリーナーを買い込み、アルカリ溶液でカビを溶かそうと試みた。カビの上からタラリと溶液をかけたら、見事にカビは溶け去った。そして私の皮膚もちょっと溶けた。しばらく両足の指がチクチク痛かった。私のようなアホをこれ以上増やさないためにも『菌・カビを知る・防ぐ60の知恵』(日本防菌防黴学会/化学同人)を紹介したい。

 本書は、防菌防黴学会の創立40周年を記念し、防菌防カビにもっと関心を持ってもらい、毎日の生活に役立ててもらうため出版された。つまり、エキスパートが書いた菌やカビの対策本なのだ。本書の存在を知っていれば、私の両足の皮膚が溶けることもなかっただろう。

家の中は菌だらけ

 まず大前提として、菌やカビはどこにでも存在する。むしろ存在しない場所を探す方が難しいらしい。本書では、ある4人家族が住む家の中を調査した結果を公表している。その家の中で一番汚染菌が存在していた場所がキッチンスポンジだった。なんと汚染菌の数15億個だという。キッチンスポンジは洗い物を終えた後、スポンジの洗剤を落として乾燥させないと、菌やカビの温床になるという。その他にも、台拭き、シャワーヘッド、携帯電話など、湿気やすいものやよく手に触れられるものに菌やカビが潜んでいることが分かった。ちなみに、人間の皮膚にも常在菌としてカビが存在している。このことから、菌やカビを完全に取り除くのは不可能だ。目に見えて悪さをする菌やカビだけを取り除く「共生」を視野に入れて対策を立てた方がいいかもしれない。

カビは天井からやってくる?

 浴室を何度掃除しても、またカビが生えてくるのはなぜか。それは天井にカビが生えていて、上から胞子をまき散らしているからだそう。本書では、天井にだけカビが生えているアクリルボックスと、床にだけカビが生えているアクリルボックスの2種類を用意して、3週間後どうなるかという実験を紹介している。結果はどうなったか。なんと、天井にだけカビが生えていたアクリルボックスは、床にまでカビがびっしり増殖していた。恐ろしい光景だ。反対に、床にだけカビが生えていたアクリルボックスは、それほど増えていなかった。つまり、浴室掃除のカギは天井が握っていたのだ。だが、浴室の天井を徹底的にお掃除するなど、素人にはなかなかハードルが高い。そこで活用したいのが「燻煙剤(くんえんざい)」だ。これは、煙に含まれる有効成分で菌やカビを殺してしまう優れものだ。燻煙剤を水に入れて床に置くだけで、天井はもちろん床全体のカビを殺してくれるという。さらに、カビの発生を1カ月から2カ月間抑え込んでくれるとか。

どう防ぐ? 部屋干し臭

 梅雨の時期は部屋干しが多くなる。つまり、部屋干し臭に悩まされる。そもそもなぜ部屋干し臭がするのか。それは、洗濯物がなかなか乾かないと、洗濯物に付着していた菌やカビが水分を利用して増殖するせいで臭うそう。本書ではその防ぎ方として、除菌や抗菌効果のある洗濯洗剤・漂白剤・柔軟剤を使うべきとしている。また、洗濯に使う水も重要で、風呂の残り湯は菌をたくさん含んでいるのでNGだとか。水道水を使った方がいいらしい。そして、部屋干しをするときは、なるべく早く乾かすために、扇風機やエアコンの風を当てた方がいいという。また、脱いだ服を洗濯槽に直接入れるのは良くないとか。洗濯機の中には、洗ったときの水分が残っており、湿度が高い可能性があるという。つまり、洗濯槽に洗濯物を入れて放置すると、菌やカビが増殖してしまうのだ。洗濯物はためずに、こまめに洗うのが一番いい。

 本書では他にも「がんを引き起こすカビ」「化粧品は腐らない」「金属を溶かすカビ」など、菌とカビをテーマに60の役立つ知恵を紹介している。今年の梅雨は本書を武器に真正面からカビと向き合ってみてもいいだろう。

文=いのうえゆきひろ