人類廃滅を目指す黒王の謎も徐々に明らかに。『ドリフターズ』新刊5巻がついに発売!

マンガ

更新日:2016/12/6


『ドリフターズ』(平野耕太/少年画報社)

 島津豊久、織田信長、那須与一といった名将から、山口多聞、菅野直といった海軍軍人、陰陽師の安倍晴明、新選組の土方歳三、さらにはハンニバル、ジャンヌ・ダルク、エルフ、ドワーフ、ドラゴンまで……!

 マンガ史屈指のオールスターキャストたちが、異世界での国奪りと自らの威信・存亡をかけた戦いを繰り広げるマンガ『ドリフターズ』(平野耕太/少年画報社)。今年10月からのテレビアニメ放送も決定している本作の1年7カ月ぶりとなる新刊5巻が6月6日に発売された。

 ここまでのあらすじも簡単に振り返っておこう。物語は、己の士道に従い戦に生きる薩摩武士・島津豊久と、狡猾で冷徹な策略家・織田信長、弓の達人・那須与一が異世界で出会い・結託するところから幕が開く。豊久は武士としての本能から、人間が支配する帝国に虐げられたエルフの村を解放。その勢いのまま国奪りを開始する。

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 島津豊久ら3人は、どこかの世界からこの異世界に流れ着いたことから「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれている。そこに立ちはだかるのが、同様にこの世界に飛ばされた者ながら、世界を憎み破壊と殺戮を行う「廃棄物(エンズ)」たち。この一団には土方歳三、ジャンヌ・ダルクなどの非業の死を遂げた人物から、怪僧ラスプーチン、そして明智光秀までも加わっている。

 なお廃棄物(エンズ)という呼び名には、“世界から棄てられた彷徨う怨嗟”という意味がある。本作は、怨みを原動力に生きる者たちと、武士道や自らの正義を貫いて生きる者たちとの心の戦いでもあるのだ!

 そして新刊の第5巻では、エンズたちの「奴隷にした人間を食い殺す」といった恐るべき生態や、その一団を率いる黒王の謎も徐々に明らかに。彼らは「人間で無罪の者は一人もいない。人間で無実の者など一人もいない 殺せ 殺せ」と人類の滅亡を目指す侵攻を開始。物語のスケールはさらに大きなものになっていく。

 一方で第5巻では、ドリフターズたちにも見せ場は満載。信長は冷酷無比な策士っぷりを遺憾なく発揮し、島津豊久はその熱き武士道精神で仲間たちを扇動していく。歴史上の偉人たちが、我々の思う人物像に沿ったカッコいい振る舞いを次々と起こしてくれるのは、やはり本作の大きな魅力だ。

 また、島津豊久vs.土方歳三といったあり得ない戦いが起こったり、部下に裏切られまくった信長に多少の改心や成長が見られたりする点も、ファンタジーならではの面白さ。なお光秀vs.信長の異世界での再戦が迫っている様子もうかがえるので、この先の展開にも注目だ。

文=古澤誠一郎