冷蔵庫の無駄をなくすには? 冷蔵庫の使い方から考える余計なモノを“ため込まない”生活のヒント

暮らし

公開日:2016/6/14


『冷蔵庫から始める残さない暮らし』(中野佐和子/青春出版社)

 食卓のかなめでもある冷蔵庫。どの家庭にもあるモノだが、ちょっと時間のあるときにでも覗いてみてほしい。冷蔵室には「あとでまた食べよう」と思っていた残り物、冷凍室には「安かったから」という理由だけでとりあえず買っておいた冷凍食品。野菜室にはいつ買ったのか覚えていないキャベツやほうれん草などが、無造作に入れられてはいないだろうか。

 独自のルールを作ってきちんと管理されている家庭もあるが、ついつい「あれば便利」と手を出してしまった食品や調味料が、そこかしこに残ってしまうのもよく聞く話だ。しかし、冷蔵庫とは「持ち主の生活が鏡のように映されているような気がする場所」であるというのは、書籍『冷蔵庫から始める残さない暮らし』(青春出版社)の著者・中野佐和子氏である。

 料理研究家として活躍する著者は、普段は人に「何にも入っていない!」と驚かれるほど冷蔵庫に“ため込まない”生活を続けているという。無駄を出さずに使い切る、著者ならではの冷蔵庫活用法を本書から紹介していこう。

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残り物はまた残る。食べきれる分だけを作り冷蔵室には余裕を持つ

 旦那さんとの2人暮らしである著者。結婚当初は、2人で食べる朝ごはんやお弁当作りにも精を出していたという。しかし、ある日気づいたのは「残り物はまた残る」という法則だった。レシピに頼って夕飯を作り、食べ終えた後に残ってしまった。また明日食べようと思っても、次の日には「これを作ってみよう」となり結局また残るという“ループ”に陥った経験はないだろうか。

 これを防ぐ手段はそもそも、調理の際に「作り過ぎない」こと。レシピに頼って作る場合は、そのままの分量ではなく人数を考慮する。著者が「捨てる“時”を延ばしているだけ」というのはその通りで、どうしても残したくなった場合は、目の届きづらい保存容器に入れるのではなく、ラップをかけて冷蔵室の手前に置いておくのがポイントだ。

傷みやすい食品はやはり冷凍室に。適度にモノが詰まっていた方が◯

 凍らせておけば安心と思い、ついつい何でも放り込みがちなのが冷凍室である。先の冷蔵室と対照的に「我が家でどんどん膨らんでいる場所」という著者だが、有効活用するポイントは「消費期限を延ばす」「食品ロスをなくす」ということである。

 例えば、期限の比較的短い肉類や魚類などの生鮮食品を保存するには、うってつけの場所だ。1週間分をまとめ買いするという著者は、買い物がその決め手だと話す。

 例えば、こま切れ肉の保存で活躍するのが、スーパーのサッカー台に置いてある薄く小さなビニール袋だ。最近は、100円均一ショップでも複数枚単位で購入可能だが、袋の中に4つほどの山に分けて冷凍庫に入れる。凍ったら折りたたんでおけるので、スペースも節約できる。

 その他、本書で紹介される種類別のおすすめな保存方法は以下のとおりだ。

・生姜焼きなどに使われる薄切りの肉
2~3枚ずつに分けてラップで包み、元々のトレイに重ねて入れる。

・白身系や鮭などの魚(青魚は鮮度が重要なので食べきれる分だけ!)
塩をあてて5分ほど置く。水分を拭き取り元のトレイへ戻し全体にラップを。

 果物も冷凍保存しておけば、氷を使い冷やす必要がないため暑い日でもそのままスムージーとしても楽しめる。

 ちなみにどの食品も“急速冷凍”させるのがポイントで、冷蔵庫に機能がある場合はもちろん、よけいな水分や空気を抜いてから、保冷剤などを載せてなるべく早めに冷凍できるよう心がける。適度にものが詰まっていた方が、たがいに冷やし合うため効率もよいという。

 大きなテーマに“冷蔵庫”を掲げる本書だが、食卓にまつわる話だけではなく、収納のコツも交えて家庭内の“ため込まない”生活のコツとヒントを著者の経験をたよりに伝えてくれる。モノが溢れていて困っているというみなさんにとっては、必ずや役に立つ1冊である。

文=カネコシュウヘイ