“息”の長い人は成功する ペンタゴンが認めた呼吸法とは?

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更新日:2021/6/28


『できる男のメンタルコンディショニング』(船瀬 俊介/主婦の友社)

 五感を研ぎ澄まし、既成概念に捕らわれない生き方を提案する、ジャーナリスト・船瀬俊介氏から、また新たなメッセージが到着した。それは『できる男のメンタルコンディショニング』(主婦の友社)だ。本作は、『できる男は超少食 空腹こそ活力の源!』『10年後、会社に何があっても生き残る男は細マッチョ 会議中でも、電車の中でも即、筋トレ!』に続く、「できる男」シリーズの第3作目だ。この「できる男」シリーズに著者が込めている思いはひとつ。日本と、日本のサラリーマンを元気にしたい そんなド熱い想いに満ち溢れている。

 著者はこの不安な現代社会をタフに生き抜く男に必要なメソッドが3つあるという。それが、「ファスティング(断食)」「アイソメトリクス(静的筋トレ)」そして、今作で紹介する「ロング・ブレス(ヨガ呼吸法)」である。

なぜ呼吸で“できる”男になれる?

 呼吸なんて、生きていれば誰でも行っている行為だ。なぜ、ロング・ブレスでタフな男になれるのだろうか。著者の答えは明快だ。それは、呼吸だけが、自律神経の支配下にありながら唯一、自分でコントロールできるからだという。

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 心臓の鼓動を止めることはできない。不随意筋と呼ばれる、意思でコントロールできない筋肉が働いているからだ。だが心臓をはじめ全身の内臓の動きを統べているのが自律神経だ。この自律神経を健やかに保てば健康でやる気みなぎる体を作ることができる。

 東洋の医学では病気の原因は2つしかないという。それは「体毒」と「苦悩」であると。「体毒」とは、過剰な老廃物で主に食べ過ぎで発生する。そして「苦悩」。これは文字通り、苦しみ悩んでいる状態。イライラしたり、ムカムカしたり、ストレス下にある状況だという。

イラッとしたり、ムカッとした瞬間に、体内には、副腎髄質からアドレナリンというホルモンが分泌されているのです。これは別名、「怒りのホルモン」と呼ばれ、毒ヘビの毒の3~4倍という猛毒物質です。その毒素が体内を駆けめぐる

 なんとも想像するだけで恐ろしい。だが、この猛毒を肝臓で分解させるのを促進させる力が自律神経にはある。そしてその働きを助けるカギとなるのが、呼吸法だという。

呼吸により3つの幸せホルモンが分泌される

 ご存じの通り、自律神経とは交代制で働きをシフトしている。心拍数を上げ、体を活動的に促すのが「交感神経」。そして逆に心拍や血圧を抑えリラックス状態にするのが「副交感神経」。自律神経のスイッチを切り替えるのに呼吸がひと役買うのだ。

 呼吸を深く、長くすると心身の緊張が取れ「副交感神経」優位となる。すると、猛毒アドレナリンの分泌が抑制される。さらに血流が改善・促進され、体内に溜まっていた毒素も肝臓で分解、解毒されるという。

 だが副交感神経がさらにすごいのは、毒を取り去ることだけではない、幸せの神経ホルモンを分泌させる。

・理性のホルモン「セロトニン」
・快感ホルモン「エンドルフィン」
・感動のホルモン「ドーパミン」

心身の快調は、幸せのホルモン群によってつくられるのです

 ストレスは驚くことに呼吸だけでも取り去ることができるのだ。

ペンタゴンでも冥想を採用

 どんなストレス下におかれても、幸せで理性的でいられる。そんな呼吸法は普通とはいったい何が違うのか。それはひと言で言えば「長く吐く」。「長息法」である。ヨガの達人ともなると、1分間にひと呼吸しかしなくなるというが、素人はまず息をゆっくりと吐くことを目指そう。具体的には次のとおり。

(1)胸を左右に張り、下腹に力をこめて、腹をひっこめながら、息を吐き出し、吐き終わる寸前、パッと下腹の力を抜く。すると、深く大きな息が自然に入ってくる
 (2)十分に息が入ったら、下腹からまたゆっくりとしぼりだしていき、全部吐き出す一歩手前で静かに力を抜くと自然にまた息が入ってくる

 1日まずは5分。目を閉じて「呼吸」のみに集中する時間を作ってみるといいだろう。無理に座禅の姿勢を組むことはない。椅子に腰掛け背筋を伸ばすだけ、また椅子の上であぐらでもよい。

 余裕があれば、ぜひ「肛門」を締めてほしい。すると下腹にある「丹田」を意識できるからだ。「丹田」とは、東洋医学において、生命エネルギーである「気」の中心点であり、意識すなわち「心」の中心点でもあるという。

わかりやすくいえば、重心です。…
 「気」「心」「体」、3つ中心点が重なっているのが「丹田なのです」。つまりそれは「命」の中心点といえます

「命」の中心点、ここに意識を集中させれば、「心理、生理、物理」の3つの面から合理的に事をこなすことができるという。

 座禅や冥想は非科学的だと思うかもしれない。だがアップル社のスティーブ・ジョブズをはじめ、シリコンバレーで活躍する人にも今や一般的なメンタルトレーニング法だという。さらには、ペンタゴン(アメリカ国防総省)でも採用されている。

 その効果は次の通り。

(1)恐れや不安の軽減 (2)記憶力強化 (3)免疫力強化 (4)集中力強化 (5)うつ病の改善 (6)血圧の安定 (7)心疾患予防 (8)血糖値の安定 (9)適切な食欲の維持 (10)安定した睡眠 (11)外傷など痛みのコントロール (12)第三者への共感力の強化

 さて、これだけの効果をアメリカの軍組織でも認めている。だが、これは呼吸法がもたらすメリットのほんの一部にすぎない。本書には、さらなる心身への効能が書いてある。あなたが今すぐ、ロング・ブレス法を取り入れない理由はなにかあるだろうか? ぜひ本書を手に取り、実践してみてはいかがだろうか。

文=坂東太郎(id-press)

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