結婚してもしなくても悩む!? 萬田久子、大竹しのぶ、岸惠子…豊潤な23人の「40代からの生き方」

暮らし

公開日:2016/7/5


『40代からの「私」の生き方』(伊藤愛子/ポプラ社)

 女の40代は悩ましい、と自分がその年代になってみて実感する。今まで着ていた服は似合わなくなるし、体力の衰えは気のせいではなくなるし、気力が続かない自分に驚愕する。確実にこれまでの自分とは違ってくるのだ。その代わり智恵や経験は積み重なっているからこなすことはできるのだが、だからといって不安がなくなるわけでも焦りが静まるわけでもない。先が見えても見えなくても「これでいいのか? どうすればいいのか?」と改めて人生を問い直してしまう。

 そんな時期には人生の先輩の話を聞きたくなる。『40代からの「私」の生き方』(伊藤愛子/ポプラ社)では、草笛光子、佐伯チズ、前田美波里、中村玉緒、岸惠子、阿川佐和子、萬田久子、大竹しのぶ、桐島洋子、吉行和子、稲葉賀惠…そうそうたる顔ぶれの先輩たち23人が、自身の生き方、迎えた転機や困難、人生の喜びについて語ってくれている。

 例えば「外見」について。いつまでも美しい萬田久子さんは、「年を取るのが怖いうちは、まだ若い。違う人生がはじまるぐらい、楽しいこと」と執着がまるでない。「あまり変わらない毎日でも、年を取ると視点が変わるから、ささやかなことでも幸せを感じることができるようになります。(中略)人生を楽しむ力は、どんな年齢でも持てますよ。」と春風のように言ってのける。一方で、ピンヒールを履くためのトレーニングは欠かさない。「男性にこびる必要はないけれど、異性としてのサービスがあったほうがお互いに楽しい。」となんとも粋な心意気だ。

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 あるいは「孤独」について。岸惠子さんは、「自分で寂しさの始末をつける覚悟がないと、自立はできません。孤独を自分のなかにどう取り込むか、という戦いをしていかなければいけない」と、自立と孤独は組み合わさっているという。誰かと暮らしていようとなかろうと、これは肝に銘じておくべきだろう。

 または「自由」について。桐島洋子さんの人生は自由そのものだ。結婚退職の規定があるからと会社に内緒で子どもを産む、彼と別れてからひとりで3人目を出産する、アメリカで1年半も家族4人水入らずの大休暇をとる、などの型破りっぷり。そんな彼女の座右の銘は「自己責任」で、締めくくりはこうだ。「自由に生きられるかどうかは時代や年齢は関係がない。もし、自分が自由でないと感じている人がいたら、それは生き方がヘタなのよ。自由は自分でつかむもの。自立は自分で築くもの。どう生きるかはあなた次第です」。

 本書では、23人の先輩女性が自分の半生を語り、40代について語っている。誰一人として同じ人生はないが、いくつか共通することがある。芯を持って生きること、自分の落とし前は自分でつける覚悟でいること、不幸を他人のせいにしないこと、などだ。そして、女性として40代はもっともいい時代である、と誰もがいう。

 もし年齢を重ねることに不安を感じているなら、素直にこの本を読んでみてほしい。彼女たちの言葉や生き様が、明日が来るのが楽しみになるような気持ちにさせてくれるはずだから。

文=高橋輝実