「ねこ寺」の猫たちと禅師の言葉から学ぶ「なやまニャい生き方」

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/14

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 愛らしい猫たちが「悩まない」生き方を教えてくれる写真エッセイ集『寺ねこDAYS ねこはなやまニャい』が2016年6月17日(金)に発売された。

 猫愛好家なら知らない人がいないといってもいいほど有名な「御誕生寺」。福井県越前市の郊外にある、元曹洞宗管長の板橋興宗(現住職)が再建したお寺だ。もともと猫好きの板橋禅師が捨てられた猫を保護したり、もらってきたりしたことから猫が増え、今や「ねこ寺」として多くの人から親しまれている。思い思いに歩き回ったり、寝そべったりしている猫たちはみな、人見知りをしない。境内にはいつも猫をなでたり、抱き上げたり、写真を撮ったりして楽しそうに過ごす参拝客の姿がある。

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 同書は、そんな御誕生寺の猫たちの写真に板橋禅師のメッセージを添えた写真エッセイ集。愛らしく生き生きとした猫たちに癒されるだけでなく、板橋禅師の言葉に明るく前向きな気持ちになり、「悩まない」生き方を教えてくれる。

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 御誕生寺の猫たちの様々な姿をとらえたのは、人気カメラマンのキッチンミノル。福井県のお寺で猫と活動を共にしたからこそ撮れた生き生きとした表情やしぐさは必見だ。

この撮影では、猫を撮るというよりも猫になることに徹し、猫と共に境内を歩き、林を抜け、気持ちは屋根に飛び乗っていました。朝の5時から夕方の4時30分まで猫の行動を観察しながらの撮影となりましたが、猫は昼間は寝ていることも多く、行動する時間が限られているため、撮影はかなり難航しました。最初は、観察するだけで精一杯でしたが、3日目くらいになると、次第に猫の気持ちがわかるようになり、猫の行動が読めるように! そんな観察の成果が写真にも反映できたのではないかと思います。キッチンミノル

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猫ブームのなか、また猫本と思う方も多いかもしれません。しかし、この本はブームに乗っただけのものではありません。実は私の実家は曹洞宗のお寺。帰省した際、リビングにあった「御誕生寺」のカレンダーが目に飛び込み、このお寺の存在を知ったことがきっかけでした。板橋住職の心に響くあたたかい言葉と、猫のかわいらしい表情の写真が私の心をとらえ、「いつかこの寺の猫の本を作りたい」と思うように。なかなか企画が通らず、あきらめかけたこともありましたが、この本を絶対作りたいという思いが通じ、このたび3年がかりで本書を出版することができました。最初は御誕生寺さんからお断りされたのですが、実家が同じ宗派のお寺でずっとカレンダーを使っていたこと、この本にかける思いなどを手紙に綴り、福井まで足を運び、その熱意が伝わってようやく刊行へとつながりました。取材を進めていく中で、猫の保護という観点から様々な活動を行っている猪苗代副住職の真摯な対応にも心を動かされました。お寺に捨てられていく猫を保護し、治療しお世話をし続ける。この活動を多くの方に知ってほしいため、後半では副住職のインタビューを中心にご紹介しています。心が疲れたとき、ほっとしたいとき、手に取っていただけたら幸いです。編集者

同書では、御誕生寺の一日の生活や、人気猫のページも収録。また、猫の世話、猫の保護活動のことも詳しく紹介されている。のびのびと生きる猫たちを見て、あたたかな禅師の言葉を読んでニャやみを吹き飛ばそう。

■『寺ねこDAYS ねこはなやまニャい
著:御誕生寺
写真:キッチンミノル
価格:1,404円(税込)
発売日:2016年6月17日(金)
出版社:オレンジページ

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御誕生寺(ごたんじょうじ)
福井県越前市にある曹洞宗の禅寺。2002年、元曹洞宗管長・板橋興宗(現住職)氏が寄進された現在地にお寺を再建。その当時、境内に捨て猫があり、保護しているうちに猫が徐々に増えていった。現在は27匹の猫を保護、飼育している。猫の世話は修行僧の修行の一環として行われ、エサ代や治療費等は寄付でまかなわれている。テレビやネット等で「ねこ寺」として人気を集め、毎日多くの参拝客が猫と触れあっている。

キッチンミノル
1979年米国テキサス州生まれ。18歳の時に噺家を目指すも挫折する。その後、法政大学に入学。カメラ部に入部し、2000年6月にキッチンミノルを襲名する。卒業後は不動産販売会社に就職し、その年に宅地建物取引主任者資格を取得。2005年、写真家・杵島隆氏に見いだされ、脱サラし写真家に。現在、雑誌や本、広告で人物や料理を中心に活動中。著書に写真集『多摩川な人々』『フィルムカメラの教科書』など。

※掲載内容は変更になることがあります。