毎回必ず「ラッキースケベ」が巻き起こる!? 新感覚なラブコメ『捻じ曲げファクター』が、エロおもしろい!

マンガ

更新日:2016/7/6

(C)守月史貴/白泉社

 ラブコメを盛り上げる要素として、必要不可欠なもの。それは、「ラッキースケベ」だ。これは、予測不可能な流れからエッチな展開になってしまう現象のこと。何かに躓いて転んだ拍子にヒロインのパンツが脱げてしまう、突然着替えの現場に遭遇してしまう、風に舞ったブラジャーが頭の上に落ちてくる……。どれもこれも、読者を喜ばせるためのスケベ展開であり、言うなれば「大人のピタゴラスイッチ」である。

 このラッキースケベは、基本的にはどれも偶然起きてしまうもの。しかし、『捻じ曲げファクター』(守月史貴/白泉社)の女子高生・紗知の場合は、それが運命づけられているから厄介なのだ。

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 紗知の身の回りでは、日常的にラブコメ展開が巻き起こる。トイレに駆け込んで用を足していると、偶然トビラが開き、丸出しのお尻を目撃されてしまう。2階の窓から滑り落ち、おっぱい丸出しの状態で木に引っかかってしまう。どれもこれもあり得ない展開だが、紗知にとっては当たり前のことなのだ。それは、紗知が「運命因子異常(ファクターエラー)」の一種である、「偶発性恋愛因子疾患」を患っているから。これは、当人が望まずとも、異性の前においてさまざまなハプニングに見舞われ、自然とお色気展開に発展してしまうという厄介な病気。この病の影響で、紗知は毎日のように、お色気度高めのラブコメ展開に巻き込まれてしまうのだ。

 しかも、それが起こるのは、幼馴染である小山内の前でのみ。彼と一緒にいると、必ず何かしらのハプニングが起こり、下着や裸を見られてしまう。このままでは、身がもたない。紗知の悩みは深刻である。

 とはいえ、それを放置しているわけではない。運命因子対策室の研究者・巻菱とともに、この病気を治す方法を日夜探しているのだ。しかし、紗知の病はとりわけ強烈なため、治療法の解明そっちのけで、実験に利用されてしまうこともしばしば。巻菱は、紗知と小山内を保健室に閉じ込めたり、プールでふたりきりにしてみたりと、やりたい放題。そしてその都度ふたりは、くんずほぐれつ状態になってしまう。

 男性読者からすると、小山内の立場はうらやましくもあるかもしれない。紗知は巨乳でかわいいため、ラッキースケベ展開もどんと来いだろう。しかし、ふたりが一線を越えようとすると偶発性恋愛因子疾患が暴発してしまい、必ず邪魔が入るのだ。そのため、気持ちが通い合っているものの、ふたりはいまだに結ばれていない。そのことが、地味に紗知を追い詰めていく。自分のせいで、小山内は普通の恋愛ができないのだ、と。果たして、ふたりは厄介な病気を乗り越え、普通のカップルのように結ばれるのか。ある種、「寸止め」ばかりの物語は、読者もヤキモキさせる。

 物語が進むと、第二の運命因子異常羅患者や、運命因子対策室の研究員が現れ、紗知のことを振り回す。しかし、彼女たちもまた紗知が引き起こすラブコメ展開の犠牲者(?)となってしまうから、不憫の一言である……。

 最終的に、紗知の病気は治るのだろうか。そして、「一刻も早く治して、(小山内と)無性にエッチなことがしたい」という願いは叶うのだろうか。ふたりの行く末を、真摯な気持ちで見守りたいと思う。

文=五十嵐 大