「寺島惇太」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ

公開日:2016/7/4

寺島惇太

編集部が注目する声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第130回となる今回は、「KING OF PRISM by PrettyRhythm」の一条シン役、「ALIVE」の藤村衛役などを演じる寺島惇太さんです。

――今日は爽やかな服装ですね。

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寺島:もうすぐ夏なので、夏っぽく。普段はあまり白シャツとか青いパンツとか着ないんですけど。

――普段はどんな格好を?

寺島:アイスクリームのキャラクターが書いてあるような、ヘンなTシャツとか。人からよく「何それ」ってツッコまれます(笑)。たまに、そのヘンなTシャツが人とかぶると、すごく悔しくなりますね。やっちゃった〜って。

――かぶらなそうに思えますが…。

寺島:それが、不思議なことに。誰ともかぶらないものを見つけていきたいです。

――ヘンなTシャツにこだわりが?

寺島:もともとファッションにくわしくないので、せめてヘンなTシャツで個性を出せたらと。放っておくと、本当におしゃれに気を使わないし、無難な服しか着ないので。

――人前ではかなり目立ちそうですね。

寺島:会話のきっかけになります。新人の時って、先輩方と話すきっかけがなかなか掴めないんですよ。アフレコに行っても、モブのような役だと大勢の中に埋もれちゃって。そういう時にヘンなTシャツを着ていると、それを見つけて話しかけてくださったり、後で「あの時の…」って覚えていてくださることもあって。

寺島惇太

――声優になったきっかけは? 2010年頃から声優として活動されていますが。

寺島:僕はちょっと遅くて、声優になりたい! と思ったのは18歳の夏だったと思います。アニメは好きでしたけど、漫画家とかイラストレーターとか、絵を描く人になりたかったので。でもある時、自分には画力がないと悟りまして(笑)。それでも、なんとかアニメに関わる仕事に就けないかと考えていたら、身ひとつでスタートできる声優という仕事を見つけました。

――お芝居というより、アニメが好きで声優を目指したと。

寺島:そうです。そんな時に、地元の長野で日本工学院の体験入学のCMを観て。夏ってコミケがあるじゃないですか。でも、親に「コミケに行きたい」とは言えないので、「体験入学に行きたい」とお小遣いをもらって、コミケに行きながら体験入学を(笑)。

――アニメ好きとしては正しい選択かもしれません(笑)。

寺島:でも、体験入学に行ってみたら、すごく楽しかったんです。寺島ではなく、キャラクターになりきると、なんでも言えちゃうんですよね。すごく開放感を感じました。それまでは人前で話すことが不得意で、学校の行事ではひたすら裏方に回っていたし、テンションを上げたり、カッコつける場面でもふざけちゃうほうでしたけど。

――その時は、たくさんの人の前でも躊躇することなく。

寺島:恥ずかしかったですけど、周りに知り合いがひとりもいない状況の中で、うまく吹っ切れたというか…。結局、小学校や中学校って、周りの友だちから「何カッコつけてんの」って言われるのが恥ずかしくて、本当は前に出たいのに、冷めたフリをしていたのかもしれませんね。それに、体験入学では周りが自分と同じようなアニメ好きなので、安心できたんだと思います。

寺島惇太

――アニメの制作側に携わる夢は、すんなり諦められましたか?

寺島:今では創作側に回らなくて良かったと思ってます(笑)。一度オリジナルでマンガを書いたんですけど、内容がしっちゃかめっちゃかで。最後にどんでん返しがあるストーリーが好きだったので、「デスノート」みたいな頭脳戦に挑戦したんですけど、僕の高校生の時の知識ではどうにもなりませんでした(笑)。

――イラストはどんなものを書いていたんですか?

 

寺島:ずっと好きで描いていたのは、ドラゴンボールとかポケモンとか。模写をしたり、元のキャラクターを自分なりにアレンジしたりして。マガジン系だと「(魔法先生)ネギま!」とか。

――最近は「KING OF PRISM by PrettyRhythm(以下、キンプリ)」が社会現象になっていますね。一条シン役を最初に演じた時の感想は?

寺島:まさに少年マンガの王道の主人公という印象でした。フレッシュなんだけど、じつはすごい能力を秘めていて、最後にバシッとキメちゃうような“主人公力”があるというか。

――ということは、寺島さんの中の“王道”のイメージがシンの声に。

寺島:そうですね。主人公だから、変化球というよりはストレートに、と思って役作りをしました。でも、最初はカードゲームの主人公みたいな熱血系になっちゃって。そうではなく、純粋無垢な感じでストレートに、というディレクションをいただきました。

――4DXバージョンも観たそうですね。

寺島:すごかったです、ホントに。座席が動いたり、耳元で風が吹いたり、シーンにあわせて水が飛んできたり、香りが漂ってきたりして。

――そして、キンプリといえば応援上映!

寺島:僕も、舞台挨拶の前に少し様子を見させていただいたことがあって、やっぱりすごかったです。男性の方もたくさんいらして、腹から声が出てましたね(笑)。

――その様子を見てどう思いましたか?

寺島:嬉しかったですね、やっぱり。僕も、もともとはアニメを観てワーッて楽しむ側だったので。中高生のアニメファンの方たちにも喜んでいただける作品に出られていることが、今でも本当に嬉しいです。

寺島惇太

――「イナズマイレブン」の雪村豹牙役も、2011年から長く演じている役です。

寺島:アニメで初めて役をいただいた作品で、本編では2〜3回の出演でしたけど、劇場版で日本代表メンバーに選んでいただいたんですよ。「イナズマイレブン」の頃から僕のことをチェックしていただいている方々もいて、ありがたいですね。5年くらい前なので、最近は「あの時、イナズマで雪村をやっていた寺島がキンプリに!」って言われたりしました(笑)。お待たせしました! と(笑)。

――そして、ドラマCDや音楽CDを展開する「ALIVE」のユニット・Growthとしての活躍の場も多いです。キャストは、土岐隼一さん、山谷祥生さん、山下大輝さん、そして寺島の4人で。

寺島:Growthのキャストはすごく楽しいメンバーで、この4人で組めたことが奇跡だと思うくらい、自然と仲良くなりました。タイプがみんな似ているというか。一緒に遊ぶことも多いし、すごくやりやすいです。

――どんなところで遊ぶんですか?

寺島:謎解きカフェにも行ったし、ボーリングにも。山下くんが、みんなで遊べるボードゲームを持っているので、カラオケでみんなで遊んだりもします。

――充実していますね。

寺島:収録の後とか、ライブの前日とか。決起集会みたいな感じで。

――決起集会らしいことを話す時も?

寺島:ユニットの今後について話すこともありますよ。僕らは企画にあわせて精一杯やるだけですけど、その中で“これからどんなユニットにしていきたいか”とか。発言ひとつにしても、ユニットのカラーを大事にしようとか。

――なるほど。

寺島:たとえば、同じシリーズのSolidS(CV:江口拓也、斉藤壮馬、花江夏樹、梅原裕一郎)はけっこうアダルトなユニットですけど、僕たちはそうじゃないので、セクシー系の話を振られてもノリノリにならないようにするとか…。

――たしかに、Growthは子役出身のメンバーという設定で、健全なイメージがありますね。

寺島:メンバー同士がお互いを大事に思っているという設定もあるので、僕たちもお互いの友情を大切にしたいねと。本当にユニットそのままなんですよ。

寺島惇太

――もしユニットを掛け持ちできるとしたら、入ってみたいユニットはある?

寺島:SolidSもSOARAも楽しそうだけど、結局Growthがしっくりくる気がします(笑)。僕が演じている藤村衛役は、高校生の中にちょっとだけ大人が混ざっている設定ですけど、ボケ担当で、それも自分に合ってるんですよね。僕自身も、イベントで出るタイミングを間違えたりとか、ピシッとできないタイプなので…。ちょうどいい立ち位置なのかも(笑)。

――パーソナルな部分についても伺います! 事務所のプロフィールに書いてある「趣味:パチンコ」って、強烈な印象がありますね(笑)。

寺島:いまだにつっこまれます(笑)。最近はパチンコというより、麻雀のほうが多くなりましたけど。

――パチンコはもう極めてしまったとか?

寺島:たしかに、ハマッてた時はシビアに遊んでましたね。パチプロの雑誌を買って、負けないための攻略を勉強したりとか。仲間が多かったので、お店の情報交換もして。

――麻雀にハマッたきっかけは?

寺島:この業界って麻雀好きの方がたくさんいらして。LINEの麻雀グループがあって、人が足りない時に「明日空いてる?」って誘ってもらえるんですよ。麻雀をしながらだと、現場ではとてもお話できないような先輩やスタッフさんとも自然と会話できるので、次にお会いした時も「あ、この前の!」みたいな感じで。業界内の友だちは増えましたね。コミュニケーションツールとして、これから声優業界に入る人は覚えておいて損はないと思います(笑)。

――ヘンなTシャツにしても麻雀にしても、コミュニケーション能力が高いですね。

寺島:本当は苦手なんですよ。初対面の人には自分から話しかけられないし、数回会った人でさえ“僕のことなんて覚えてないだろうな…”って尻込みするほうだし。だから、どうにかしてコミュニケーションを取らないとって考えた時の手段が、麻雀やTシャツなんです。

――見事にその目的を果たしている気がします。一転して、「特技:ギター」はカッコいいイメージの特技です。

寺島:高校の軽音部で弾いていました。指が太くて短いから、ギタリストには向いていないって先輩から言われてたんですけど。じつは今度、お仕事でギターの弾き語りをするかもしれなくて。久々に弾いてリハビリしないとって思ってます。

――弾き語り、楽しみにしています! 寺島さんは、自分をひとことで言うとどんな人?

寺島:う〜ん、ラッキーマンですね! 自分でも不思議なくらい、縁が繋がっていくんですよ。麻雀も、もともとは、ハタチの時にバイトの店長から強引に誘われて。ボッコボコに負けて悔しいから、勝つ方法を覚えたものだったし(笑)。Tシャツも、もともとヘンなのが好きだったし。

寺島惇太

――それがお仕事にも繋がっているんでしょうか。

寺島:それもラッキーだったなと。まだジュニアランクの時、「バディファイト」と「ダイヤのA」の番組レギュラーを約3年もやらせていただいて。新人でレギュラーの仕事があるなんて、本当にラッキー。Growthの藤村役も、最初はなかったキャラクターだったのに、奇跡的に入れてもらえたんですよ。

――きっと普段のコミュニケーションが生かされているのだと思います。その運の良さを生かしつつ、今後挑戦してみたい役はありますか?

寺島:今までは、明るくて、のほほんとした役が多かったので、感情をむき出しにして爆発させるような役を演じてみたいです!

――最後に、読者へのメッセージを。

寺島:最近、ツイッターなどで応援してくださる方が増えまして。僕、あんまりカッコつけられるタイプではないので、ツイッターでは、ちょっとだらしない写真なんかが出回っているんですけども、そんな僕の姿をできれば愛嬌と受け止めていただいて…。これからなんとか、みなさんを失望させないように、人として大人として成長できればと思います。イイ声はきちんとご提供したいと思いますので! これからも応援していただけたら。よろしくお願いします。

【声優図鑑】寺島惇太さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

寺島惇太

寺島惇太(ケンユウオフィス)

寺島惇太 Twitter

◆撮影協力
magic tone studio(マジックトーンスタジオ)

取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト