物語と現実の境界が曖昧になる“最恐”ホラー小説! 嗤い声が聞こえたら、もう逃げられない…

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/14

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 第22回ホラー小説大賞にて大賞を受賞し、綾辻行人、貴志祐介、宮部みゆきらに才能を絶賛された澤村伊智の大賞受賞後初作品『ずうのめ人形』が2016年7月28日(木)に発売される。

 澤村にとって2作目となる同書は、「恐怖の根源とは何か」をテーマに、巧みな物語構成を活かし、実在しないはずの都市伝説をめぐる怪異と、それに挑む登場人物たちの葛藤を詳細に描いている。都会にある出版社やタワーマンションが舞台となっているため、怪異の存在が読者の生きる世界に急速に“近づいている”ことが更なる恐怖を掻き立てる。読み進めていくうちに、物語の世界と現実との境界が曖昧になるようなリアリティが最大の魅力である『ずうのめ人形』に、有川浩氏や書評家たちも絶賛のコメントを寄せている。

リーダビリティが凄い。ホラーの皮をかぶった正統派エンタメ。
他のジャンルも読んでみたい。有川浩

祖父は『青蛙堂鬼談』、父は『リング』──
最恐ホラーのDNAは、澤村伊智が受け継いだ!東雅夫(幻想文学評論家)

ホラーであると同時にミステリとしても非凡な出来映え。
どうすれば逃れられるのか、読者も考えながら読んでほしい。千街晶之(ミステリ評論家)『本の旅人』8月号より

 この夏、ホラー界で最大の話題作になることが期待されている同作。第22回ホラー小説大賞受賞作である『ぼぎわんが、来る』と合わせて読んでみてはいかがだろうか。

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<『ずうのめ人形』あらすじ>
今度の怪異は、あなたの手の中に――
嗤い声が聞こえたら、もう逃げられない。

 オカルト雑誌でアルバイトとして働く藤間は、校了間際に音信不通になってしまったライター・湯水を探すために同僚の岩田とともに湯水の自宅を訪れる。そこで2人が発見したのは、顔中に“糸”のような引っかき傷をつけ、目を自ら抉り出した状態で死んでいた湯水の姿だった。

1週間後、湯水の葬儀を終えた藤間に岩田がコピーの束を押し付ける。それは、亡くなった湯水の部屋に遺されていた手書きの原稿。岩田から湯水の死の原因はこれにあるはずだと言われた藤間は半信半疑でその原稿を読み始める。そこに描かれた「ずうのめ人形」という不気味な都市伝説、それと対応するように藤間の周辺に現れる顔中を“糸”で覆われた喪服の人形。迫り来る怪異をふせぐため、藤間は湯水の後任ライターである野崎と彼の婚約者であり霊能力者の真琴に原稿のことを相談するが……。

 果たしてこの物語は、「ホンモノ」なのか。迫りくる恐怖を描くノンストップエンタテインメント! これは全部「小説」の話だ。にもかかわらず、「僕たち」の現状とシンクロしている。

■『ずうのめ人形
著:澤村伊智
装画:山科理絵
装丁:大原由衣
価格:1,650円(+税)
発売日:2016年7月28日(木)
発行:KADOKAWA

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■『ぼぎわんが、来る
著:澤村伊智
装画:綿貫芳子
装丁:大原由衣
価格:1,600円(+税)
発売日:2015年10月30日
発行:KADOKAWA

撮影/吉次史成

澤村伊智(さわむら・いち)
1979年大阪府生まれ。東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂の作品を敬愛する。2015年『ぼぎわんが、来る』(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回日本ホラー小説大賞「大賞」を受賞。巧妙な語り口と物語構成によって、全選考委員から高い評価を獲得した。新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている。

※掲載内容は変更になる場合があります。