マツコ・デラックス流人付き合いの極意と裏ワザとは? 「自己アピールが苦手、いつも気持ちが伝わらない」を克服!

テレビ

公開日:2016/9/2


『なぜ、マツコ・デラックスは言いたい放題でも人に好かれるのか?』(内藤誼人/廣済堂出版)

 今やこの人の顔を見ない日はないというほど、バラエティー番組をはじめ、さまざまなメディアで引っ張りだこのマツコ・デラックスさん。(以下、マツコさん)圧倒的な存在感で、老若男女に愛される独特なキャラクターは、注目されて数年経っても人気が衰えるどころか好感度はアップし続け、今では毒舌トークが「マツコ節」として注目されている。

 『なぜ、マツコ・デラックスは言いたい放題でも人に好かれるのか?』(内藤誼人/廣済堂出版)は、多くの著名人の「なぜ?」を心理学者の観点から分析し、その法則を多数執筆している内藤誼人氏が、ユーモアに隠された哲学、女性に刺さる共感具合など、マツコさんのコメントを基に心理テクニックをまとめた本だ。

 仕事や恋愛、家族…さまざまな人間関係の悩みは誰でも多かれ少なかれあるだろう。自己アピールが苦手で、どうしたら気持ちをわかってもらえるのか? どうしたら関心を持ってもらえるのか? と解決策を見出すために、いろいろ試してみてもなかなか身につかないという人は多いと思う。本書は発想の切り替え方法や、定説を逆に見る視点などが、下積み時代から苦労してきた経験豊富なマツコさんならではの愛情がこもった苦言、提言が紹介されている。

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 第1章「マツコ流・無敵の“セルフ・プロデュース”力を身につけろ!」では、マツコさんの「デブ」「毒舌」「女装」と、当初は批判されたネガティブな要素をプラスに変えるポイントが挙げられた項目が並ぶ。

「少しくらい嫌われても大丈夫。そのうち相手も慣れる」
「まずは、とにかく“興味・関心”を持ってもらうことが先決」
「嫌われることを恐れていては、自己アピールなどできるわけがない」

 スタート時点から好感度を求めようとせず、嫌われても大丈夫、それより印象に残った方が得、と考えている。弱みやマイナスイメージをさらけ出すことで、「かっこつけない正直な人」と好感度が上がり、どんな人か関心が高まるという。

 マツコさんの言葉。

磨く部分は人それぞれ違うだろうけど、何かを突出させるためには必ず何かを捨てなくてはならないのよ。失ったり逃したりしてしまうことを恐れていたら、人を惹きつける女にはなれないと思うわ

 何か目標とするものに向かう時、犠牲にしなくてはいけないものがあるはずだ。リスクをとる覚悟で臨む、その潔さが突出した何かをつかむことにつながる。まんべんなくでは魅力的にはなれない。

 第2章「悪用厳禁! マツコだけが知っている人付き合いの極意と裏ワザ」では、定説を逆にしたり、意外なテクニックがいくつも並んだりしている。

「いったん冷たくしてから、温かさを見せる心理ワザを身につけろ」
「“コネ”も決して悪いものではないと心得よ」
「“来る者、拒まず”の精神があなたの仕事を成功させる」

 マツコさんの言葉。

大手はどこもすり寄ってこないんですよ。私、お金を持ってない出版社と仲良くなるクセがあって、キラキラしてる出版社と縁がないんです

 執筆活動もしているマツコさんがお付き合いしている出版社は大手ではないという。自分を選んでくれて、仕事を依頼してくれた人には、喜んで応じる気持ちが大切。相手を値踏みして付き合う相手を限定しては、良い仕事も来ない。

 この他にも「毒づきながらも不快にさせない“ホメ方”」など、マツコ流立ち回り術、心をつかむ話し方が、第5章までたっぷり紹介されている。それは難しいテクニックではなく、普段からの心の持ちようであったり、思い込みから解放されて楽になるようなことだったりする。最後にマツコさんらしい言葉を紹介しよう。

「毒舌を吐くときには、“愛”を含んだ毒舌にしろ」
「根っこに愛情があれば、どんな発言をしても大丈夫」
「会話で必要なのは“理性”ではなく“感性”」

 毒づきながらも多くの人が惹きこまれる理由は、母性を感じる無償の愛を感じるからではないだろうか? 女帝のように振る舞いながら、地味な作業をするスタッフに優しく接する心配りがあり、場の雰囲気を和ませるための自虐ネタをもち、相手を喜ばせるからかいでイジったり、こうした気遣いが今の活躍を裏付けている。マツコさんこそ、今の時代が求める真の「神対応」なのかもしれない。

文=藤本雪奈