SMAP木村拓哉は、どうしてCAの印象に残るのか? 99%の人がやっていない「1秒」の意識とは?

ビジネス

公開日:2016/9/9


『1秒で「気がきく人」がうまくいく』(松澤萬紀/ダイヤモンド社)

「気がきく」は日本人にとって最大の褒め言葉だと思うが、思い返せば「気がきくね」と褒められることも、誰かを褒めたこともない気がする。どうすれば「気遣い」ができるようになるのだろうか。

 99%の人はやっていないけれど、「やろうと思えば誰でも実行できるたった1%の習慣」「『1秒』意識することではじめられる習慣」があれば、誰でも「気がきく人」になれるのだとか。

1秒で「気がきく人」がうまくいく』(松澤萬紀/ダイヤモンド社)は、ANAの客室乗務員(CA)を12年間経験した後、現在は日本ホスピタリティー・マナー研究所の代表であるマナー講師の著者が、CAの時に出会った500万人のお客様から学んだ「気がきく人」の習慣について、わかりやすく、具体的な人名を挙げて紹介している実用書である。

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 そもそも「気がきく」とは「やさしさを、行動・言葉・態度で表現すること」なのだとか。気がきく人になりたいと思ったのなら、まずは「目の前の人を笑顔にしたい」「人の役に立つことをしたい」と願い、行動を起こすことが第一歩だ。

 しかし、その一歩を踏み出せて(実際アクションを起こせて)いるのは、わずかに1%。「相手を大切にしたい」と意識することは1秒でできるのに、これはとてももったいないこと。本書では、すぐに実践できる38の習慣を教えてくれている。

 それでは、その内容を一部ご紹介しよう。例えば、今何かと話題になっているSMAPの木村拓哉さんはCAの間で印象に残るのだとか。なぜなら「飛行機に乗ってきたときから、降りるときまで、『100%キムタク』だったから」。ダラけた姿を見せることはファンを悲しませることになるから、どこにいてもイメージを崩さないよう、セルフイメージをしっかりとコントロールされているのではないか、と著者は述べる。

 この「100%、○○だ!」と思い込むことは、芸能人だけでなく、一般の方でも有効な「未来を変える方法」だという。著者はCAの試験に7回落ちたが、8回目の試験では「自分がなりたい姿」をイメージして、覚悟と自信を持ち「100%CA」だと思い込んだという。そのおかげか、念願の合格を手にした。

 人に見られていても、見られていなくても、「なりたい姿」を演じ続けると、それに現実が追いついてくる。「それが本当の自分になる」。1秒あれば持てる、その意識が大切なのだ。

 キムタクの例は「自己への意識」だったが、「相手との関係における意識」に関しても触れられている。例えば、「『ほめる』と『叱る』の割合は、2:1がちょうどいい」「コミュニケーションにおいて『ほめる』ことの大切さはよく知られているが、その必要性については気づいていない人が多い」という話。

「ほめる」行為は、相手に自信を持たせ、背中を押してあげるために必要なこと。しかし、時には厳しい指導が求められる時もある。
 女優の天海祐希さんと、タレントの中村アンさんとの会話を挙げて、著者はその具体例を示している。

 ある時、天海さんが中村アンさんにこうアドバイスしたとか。「あなたのこと好きよ。でももっと自分に自信を持って。もうちょっと勉強して品のある言葉づかいをしたほうがいいんじゃない?」と。
 そのことに中村アンさんは「強く心を打たれた」そうだ。天海さんの中で、中村さんの言葉づかいに、少し引っかかることがあったのだろう。しかし、その指摘だけをするのではなく、まず相手にポジティブな言葉を投げてから注意をしたことが、中村アンさんの気持ちを動かした。そうすることで、「相手は自信を損なうことなく、自分の言葉を前向きにとらえてくれるはず」とのこと。

 その他、「相手が本当に嬉しいのは、『過程』に感謝してくれること」や「『わかりやすさ』は、それだけで武器になる」などなど、誰でも、すぐに実践できる38の習慣を紹介している。個人的には、「それができたら苦労しないよ……」と、ちょっと後ろ向きに思ってしまう瞬間もあったのだが、文章から伝わる著者の「熱意」と「気遣い」がやる気を奮い立たせてくれる。絶対、「気のきく」人になれると、読者を応援してくれているようだった。

文=雨野裾