植物好きの人に悪い人はいない!? お笑い芸人・ハザマ陽平×『タニクちゃん』よねまる【後編】

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更新日:2016/9/21

(左)ハザマ陽平さん、(右)よねまるさん

ムチムチ、ぷにぷに、ふにゃふにゃ……。多肉植物を触るのが好き♥

よねまるさん(以下、よねまる)  私は多肉植物を触るのがすごく好きなんです。日によってすごいふにゃふにゃだったりパンパンに膨らんでたり、水やりの前と後で触り心地も違うんですよね。

ハザマ陽平さん(以下、ハザマ) ふにゃふにゃは日光不足のせいもあるんですけど、水分不足と勘違いして水あげ過ぎて失敗するんですよね。水あげたあとちゃんと日光に照らすとしっかり水分を吸い上げて、カッチカチになる。そういうときは、指で触りながら「おお! 吸うてるねぇ」とほめてあげます。

よねまる 触りがいがあるタニクは何が好きですか? 私はカランコエとか四方八方にムチムチ分厚く広がる感じが好きですけど。

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ハザマ 僕はこれですね(と写真を見せる)。玉泉っていうんですけど。

よねまる あ、かわいい!

ハザマ これは葉っぱが透明で水分がなかにたまってる様子が見えるんですよ。これを指でぷにぷに触るのが好きですね。

よねまる 多肉っていろんな種類があって、見れば見るほど欲しくなりますよね。ハザマさんはどんなものを育ててるんですか?

ハザマ 今、うちにあるのはユーフォルビア、サボテン、塊根植物、あとシダ類とかですかね。特に僕が一番好きなのはコーデックスという開墾植物で、マダガスカルという水分が少ないところで生息しているので幹だけ肥大するんですよ。

 『タニクちゃん』にも、可愛い女の子のお客さんに嫉妬したタニクちゃんたちが、塊根植物のパキポディウムをぶつける作戦を考える場面が出てきますけど、本当に爆弾みたいに根っこがふくれるんですよね。塊根植物は寄せ植えも難しくて、それだけにコツがわかってくると楽しいんです。

多肉植物のために引っ越ししたいぐらい

よねまる ハザマさんのところって植物園みたいですね。恥ずかしい話なんですけど、私の部屋はぜんぜん日が当たらなくて。ベランダに少しだけ日が当たる場所があるので、そこで多肉植物を育ててるんです。部屋のなかだとかわいそうなので、欲しいのがあっても我慢してるんですよ。

ハザマ あ~、それ僕も同じです。多肉植物のために引っ越ししたいぐらいですもん。僕の家も日が当たるところが狭くて、そこに柵板をつくって多肉植物を並べてるんですけど、震度3ぐらいで全部落ちると思います(笑)。

 そういう意味でいうと、主人公の花田くんがうらやましくて仕方がない。買い物にくる女の子もかわいいし。でも植物のことを聞かれてもちゃんと説明できないから、「それちゃうやろ!なんでそうなるんや!」と、結構ツッコミ入れながら読んでましたね(笑)。「今すぐ代わりたい。オレと代わってくれ!」と思いながら。

よねまる ハハハハ。

ハザマ ひとつ気になったのは、多肉植物自体がそんなにポピュラーじゃないので、これって結構マニアックな路線なんじゃないかな?と。そもそもなんで多肉植物のマンガを描こうと思ったんですか?

よねまる 掘り下げれば掘り下げるほど奥が深くて、ネタがいっぱいあるなと思ったんです。自分も多肉植物に興味を持ちはじめた頃だったので、マンガを描くことで自分にとっても勉強になればいいなと思って。もちろんそれだけじゃなく恋愛もコメディもある内容にすることは、最初から決めてました。花田くんが母性本能をくすぐるみたいで、読者は主婦やOLの女性がすごく多いですね。

ハザマ ほんとデキない男で、見てると歯がゆいんですけど、あえてこういうキャラにしたんですよね。女性がなんとかしてあげたくなる気持ち、言われてみるとわかります。

よねまる 花田くんが多肉植物を通して成長していく様子を描きたくて。彼はどちらかというと草食系男子で、自分の好きなタイプの要素を詰め込んだんです。「私が育ててあげたい、構ってあげたい」って思わせるタイプに弱いんですよ。

僕は、植物は好きですけど完全な肉食系です(笑)

ハザマ 僕は、植物は好きですけど完全な肉食系です(笑)。だから植物好きと男性のタイプはあんまり関係ないのかなと思うんですけど、花屋さんで働いてる男性っておっとりしていてやさしいイメージがありますよね。多肉植物仲間にもそういう人は多いんですよ。

よねまる いい人が多そうですよね。

ハザマ 人に対する気遣いができる人が多いんですよね。よく「ディズニー好きに悪い人はいない」って言いますけど、植物好きに性格の悪い人っていないと思います。やっぱり、植物をちゃんと世話して育てあげる愛情を持っている人は、人に対してもそれなりの愛情を持って気遣いができる人が多いんじゃないかなぁ。あ、自画自賛になってますかね(笑)。

よねまる 私もそう思います。でも、多肉植物仲間がいないんです。

ハザマ 孤高のタニクちゃん好きなんですね。お店には行ったりします?

よねまる 行きつけはないですけど、私もこの前、鶴仙園に行きました。でも多肉植物をじーっと見て帰るだけ。うちに連れてきたらかわいそうだから。

ハザマ わかるわ〜。家に連れて帰りたいのに帰れない。ものすごく欲しいのにあきらめなきゃいけない、あの瞬間って本当にツライですよね。

よねまる 枯らせてしまったときのショックを考えると、なかなか気軽に買えないんです。

ハザマ そうそう。日本は四季があって湿度が高いから、多肉植物を育てる環境としてはかなりリスクが高いんですよ。僕はそれでも努力して多肉たちと向きあってますけど。枯れたときは最悪な気分になって、誰ともしゃべりたくなくなりますからね。

「私と植物、どっちが大事なの?」

よねまる ハザマさんの奥さんも植物は好きなんですか?

ハザマ 最初は一緒に買いに行ったり育てたりしてたんですけど、僕がどんどんマニアックな方向にいったので付き合わなくなりましたね。買いたい種類もどんどん高価なものになっていくから、「またやってるわ〜」みたいな感じの呆れたような目で見られます。

 今年の夏なんて、サボテン部屋とつながっているリビングのエアコンをどうしてもつけたくなくて、嫁さんのために「これで我慢してくれ」と大きい扇風機を買ったんですよ。そしたらもう嫁さん汗だくだくで、ええ加減怒られて「ちょっと待ってくれ」と。「生活でけへん。わたし熱中症になるわ〜」ってさんざん言われました。「私と植物、どっちが大事なの?」状態ですね。よねまるさんは、多肉植物好きになってから周りの反応は何か変わりました?

よねまる イベントとか誕生日に多肉植物グッズのプレゼントをよくもらうようになって、多肉グッズが増えましたね。多肉のぬいぐるみとか、エケベリアがついてるボールペンとか。

ハザマ うわ、そういうグッズがあるんですね。いいじゃないですか。そういえばひとつ聞きたかったんですが、『タニクちゃん』のなかで「男なら植物になれ!」っていう台詞が出てきますよね。あれはどういうメッセージが込められてるんですか?

よねまる 男はがっつくな!と。無理矢理なにかしようとしなくても伸び伸びとしていれば、女性は寄ってくるよって。

ハザマ ハハハハ。そういう意味が込められてたんですね。そうですよね、よねまる先生の言うことを聞かないと、僕も枯れてしまいそうです(笑)。

取材・文=樺山美夏 写真=山本哲也

前編】はこちら「夜な夜なひとりでビール片手に多肉植物に話しかけてます」 お笑い芸人・ハザマ陽平×『タニクちゃん』よねまる

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