パリ生まれのベジタリアン弁当! 雑穀・メイン・サラダでランチもおいしくダイエット【作ってみた】

食・料理

公開日:2016/9/19

 今や世界中で知られているといっても過言ではない日本のお弁当。中でもフランスでは数年前から弁当ブームが巻き起こっており、パリのリヨン駅では「駅弁」までも販売されている。さらに、パリの町中で注目を集めているのがレストラン「Nanashi(ナナシ)」である。今回ご紹介する『NanashiのBENTO(ナナシのベントー)』(遠藤カホリ/アノニマ・スタジオ)の著者がメインシェフを務めるお店だ。ナナシでは、日替わりのお弁当を店内で味わえるということで、ランチタイムにはたくさんの人が訪れる。運ばれてくるお弁当は、栄養バランスに優れているとひと目でわかる仕上がりだ。中でも「ベジタリアン弁当」は、ヘルシーでダイエットの味方にもなるだろう。そこで本書のレシピにも登場する、やわらかな色彩のベジタリアン弁当を作ってみることにした。

春のベジタリアンベントー


 このレシピ本の中で、季節を問わず作りやすいのが「春のベジタリアンベントー」だろう。グリーンが印象的な見た目もきれいな1品である。ナナシのお弁当には白米ではなく、オーツ麦や玄米、赤米など数種類の雑穀をミックスしたものが使用されている。家庭ならどれか単独で使うと良いとのことだが、今回は食べやすさを考えて、白米に30穀米を混ぜ合わせたものにした。栄養満点のふっくらごはんの上に乗っているのは、メインとなる揚げ出し豆腐とアスパラガスだ。最初は「ごはんの上に揚げ出し豆腐!?」と思ったが、確かに肉や魚よりヘルシーである。そしてサラダは色合いの良い2種のサラダが入っている。まるでカフェで食べるサラダプレートが、そのまま詰め込まれたような贅沢さだ。

「揚げ出し豆腐と海苔ソース」


 水を切った木綿豆腐に小麦粉をまぶし、油で軽く色がつくまで揚げる。同じ油で葉玉ネギとアスパラガスをサッと素揚げにし、熱いうちに塩をかける。海苔ソースは、少量の水でふやかした海苔にオリーブオイルとすりおろしにんにく、塩を混ぜ合わせて作るのだが、これが絶品! 揚げ出し豆腐をさらにおいしくするのだ。

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 ちなみに葉玉ネギが手に入らず、アスパラガスをもう1本足した。このように必要な野菜がスーパーで見つからない場合は、色や形が似たものを積極的に代用すると良いだろう。揚げ出し豆腐の上に海苔ソースをトッピングし、アスパラガス2本を飾ったら「和のフレンチ」のように仕上がった。

「やさしい味わい、ほっくりおいしい」サラダ2種


 1つ目のサラダは、野菜とグレープフルーツのサラダ。切ったキャベツとカブに軽く塩をふり、味をなじませたら薄切りにした紫玉ネギとグレープフルーツを加える。それをワインビネガーとオリーブオイルで作ったドレッシングで和え、フェンネルシードやディルと合わせたら完成だ。グレープフルーツの果汁がサラダ全体と絡み合い、甘酸っぱくさわやかな味わいに。またプチトマトは、私の苦手なオリーブの代わりに飾ったものである。

 2つ目のサラダは、ジャガイモとビーツが主役となる。ビーツが手に入らなかったので、同色系のさつまいもを代用することに。天板に乱切りにしたジャガイモとさつまいもを並べ、オリーブオイルをまわしかけ、オーブントースターでこんがり焼く。途中バルサミコ酢をふりかけるのがおいしさのポイントとなる。これにトッピングするのは、ギリシャヨーグルトと練りわさび、塩を混ぜ合わせたソースだ。酸味がクセになるソースで、ほっくりしたジャガイモとさつまいもにマッチする。お好みでベビーリーフなどをあしらって完成。

 ナナシのレシピには日本では手に入りにくいものが登場するが、アレンジすることも楽しみのひとつになるだろう。たとえ食材を少し変えても見た目も仕上がりも、「ナナシ」のお弁当そのもののようになる。本書では、春・夏・秋・冬のベジタリアンベントーに加え、各季節に合った肉ベントー、魚ベントーのレシピも紹介されている。

 日々お弁当を必要としない方には、ぜひ家庭で味わってほしいナナシのベントー。お弁当箱のような、深さのある四角いプレートを2枚用意したら、さっそく料理をはじめてみよう。それはまさにパリ気分を味わえる「ナナシごっこ」となるだろう。

文=くみこ