モブ、サイタマ、範馬勇次郎、リヴァイが“無双”できるワケ

マンガ

公開日:2016/9/18


 8月に13巻が発売された『モブサイコ100』(ONE/小学館)。現在、テレビアニメ化もされているほどの話題作ですが、その内容は地味な中学生・モブが強大な超能力を使って悪を制するというもの。ザコ感溢れる見た目とは裏腹に、とにかく主人公・モブの無双っぷりが半端じゃない! その実力は、世界征服を目論む悪の超能力集団「爪」をたったひとりで壊滅させてしまうほど。ところで、バトル漫画にしばし出てくるモブのような「無双」キャラは、登場する作品の設定によって主人公だったり、悪役だったり、チョイ役だったりと様々。ここでは、そんなタイプの異なる3人の無双キャラたちを筆者の独断と偏見で紹介します。

ラスボス級の強キャラもワンパンのヒーロー

 『ワンパンマン』(ONE:原画、村田雄介:作画/集英社)は、主人公「サイタマ」をはじめとするヒーローが、怪人を倒していくギャグアクション。

 作中では怪人の強さ・危険度が、災害レベル「狼」「虎」「鬼」「竜」(「神」というのもあるらしい)で表現されており、現状、竜(神)が最も上位です。一方でヒーロー側の強さも「C級」「B級」「A級」「S級」とランキング化されており、S級が最強とされています。

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 しかし、A級ヒーローのサイタマは、竜(神)クラスの怪人もワンパンで倒すことが可能です。例えば、元々天才格闘家だったにもかかわらず、人間から怪人に進化して反則級の強さを手に入れたガロウ。S級ヒーローたちが束になっても敵わない強キャラでしたが、当時B級ヒーローだったサイタマにケチョンケチョンにされました……。

「圧倒的な力ってのは、つまらないもんだ」と、久しく戦いの高揚感を味わえていないサイタマですが、その強さの秘密についてこう語っています。

「腕立て伏せ100回 上体起こし100回 スクワット100回 そしてランニング10km これを毎日やる!」

 ローマは一日にしてならず、日々の肉体の鍛錬こそ最強への近道なのかもしれません。

地上最強の生物と呼ばれるトンデモ親父

「グラップラー刃牙」シリーズ(板垣恵介/秋田書店)は、地下闘技場の最年少チャンピオン・範馬刃牙が、腕っ節自慢の猛者たちと、熾烈なぶん殴り合いを繰り広げる格闘漫画。

 作中には、刃牙を含め超人たちが登場しますが、その中でも頭ひとつ抜けたトンデモクラスの敵キャラがいます。刃牙の父親で、裏社会では「地上最強の生物」と呼ばれる「範馬勇次郎」です。

 その強さは、勇次郎が地球上の生態系の頂点に君臨したことで「自動的に1つだけ“強さ”のランクが下がった」と表現され、全世界の国家指導者に核保有を決意させるほどの脅威とされています。

 あるシーンでは、突如発生した地震が、勇次郎の地面パンチで止まったことも。普通に考えれば、地震がパンチで止まるわけありません。しかし、勇次郎自身が“俺が止めた!”と当然のように自負するため、それを見た第三者も“勇次郎が止めた!?”と思い込んでしまうのです。

 己の強さを信じて疑わないこの「エゴイズム」こそ、範馬勇次郎が地上最強の生物と呼ばれる所以なのかもしれません。

その戦力は単身で4000人の兵士に匹敵、巨人も瞬殺

 『進撃の巨人』(諫山創/講談社)は、謎多き巨人とそれに対抗する調査兵団(人間)の戦いを描いたファンタジー。

 調査兵団の戦闘スタイルは、立体機動装置という武器を使い、ワイヤーを壁などに引っ掛けて縦横無尽に空中を飛び回り、腰に携えた剣で獲物を切り裂くというもの。とはいえ、相手は人食いの巨人。当然、一度でも捕まれば確実に食されて しまいます。

 巨人に比べてかなり分が悪い調査兵団ですが、兵士長「リヴァイ」だけはバケモノです。人類最強の兵士と呼ばれ、その実力は4000人の部隊に匹敵するとか。

 先月、発売された最新20巻では、身長17mの獣の巨人とリヴァイの一騎打ちが収録されていました。獣の巨人は、リヴァイに指、腕、肩、目を順々に高速でメッタ切りにされ、「何だ!? 何も見えない!! 目をやられたのか!?」と気づいた時には既に両足まで切断されていました。

 返り血を浴びることもしばしばのリヴァイですが、実は重度の潔癖性。潜伏先では率先して掃除に励み、部下たちが少しでも雑にやると「全然なってない すべてやり直せ」と一蹴する一面も。

 さすが、人類最強。どんな「掃除」にもこだわるようです。

 ここでは3人のキャラクターを紹介しましたが、彼らはなぜ無双できるのか、その答えは筋トレ、エゴ、掃除と、意外とシンプルなことなのかもしれません。筆者としては、バトル系漫画で無双キャラが出てくると“胸アツ”になるので、もっと登場してほしいところ。皆さんが思う無双キャラは誰ですか?

文=岡田光雄(清談社)