あなたの「かかりつけ医」は大丈夫? 「いい医者」「ダメな医者」を見きわめるポイント

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公開日:2016/10/11

『医者に殺されないための「かかりつけ医」の見つけ方 (読むかかりつけ医シリーズ)』(川嶋 朗/光文社)

 医者や病院を選ぶのは難しい。たいていの場合、お世話になっている時点で何かしらの病気になっているわけで、そこから医者や病院を「変えてくれ」などとはなかなか言えないものだろう。

 じつは先日、筆者の身の回りでも「セカンドオピニオン」の必要性を感じる出来事があった。身内がある単純な検査を受けたのだが、当日の夜になり体調を崩してしまったのだ。翌日、検査を担当した病院へ駆け込んだところ、医師から告げられたのは「検査では感染症にかかる人もいます」という曖昧な説明だった。

 3日ほどで身内の体調はどうにか回復したものの、結局、原因は分からぬまま。はっきりとしないまま、モヤモヤした気持ちだけが残った。

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 さて、いざとなった時に備えて、自分にとってふさわしい医者や病院を選んでおくのも大切である。書籍『医者に殺されないための「かかりつけ医」の見つけ方(読むかかりつけ医シリーズ)』(川嶋 朗/光文社)は、そのためのヒントとなりうる一冊だ。

できる限り寄り添ってくれるのが「いいかかりつけ医」

 近所にある、顔見知りである、というのは、かかりつけ医を選ぶ基準とはならないと著者はいう。本書で示される理想的な基準は、できる限り「緊急のとき、たとえそれが夜中でも電話に出てくれて急な病気にも対応し、適切なアドバイスをしてくれる」医師。

 さらに、自分のところで対応できなければ他の病院を紹介。または、当日の対応が無理な場合には「明日、私のクリニックへいらっしゃい」と可能な範囲で患者の不安をやわらげてくれるように対応してくれる医師が望ましいのだという。

セカンドオピニオンを拒否する医者や病院には要注意!

 いいかかりつけの医師を見きわめる手段のひとつが、セカンドオピニオンだ。何らかの病気となった場合、主治医以外の医師に病状や診察方法などについての意見を求めることだが、病院からこれを拒否される場合もある。

 本書によれば、医師から「どこへ行ったって同じだよ」と説明されるほか、医師の権力が強い大学病院などでは看護師から「先生の機嫌が悪くなるからセカンドオピニオンのことは口にしてはいけません」と注意されるケースもあるという。

患者の状況に配慮して様々な治療法を提案してくれる医師は◯

 患者の希望だけをハイハイ聞いてくれるのも、必ずしもいい医師とは呼べないという。例えば、重い病気にかかった場合、手術をしたくない患者に対して「手術なんてしなくても大丈夫ですよ」とサラッと言い放つケースである。

 真にいい医師というのは、その場合に「あなたの意見も一理あるが、ほかにもこんな治療法やこんな選択肢もあります」と代替案を提示してくれる。もちろん治療はタダではないため患者それぞれの経済的事情も考慮し、症状に応じて複数の治療法を提案してくれる医師を見きわめるべきだという。

 人によって“いい医師”または“いいかかりつけ医”の基準は異なる。そのため医師や病院の評価を「客観的にというのは非常に難問です」と著者は主張している。

 とはいえ、患者の視点からすれば、何かしらの指標があったほうが安心できるのも事実である。本書では様々な“反面教師”的な医師や病院の事例が掲載されているが、いざという時に備えて、頭の片隅に置いておけばきっといつか役に立つ日が来るはずである。

文=カネコシュウヘイ