他人に振り回される理由は自分にあった!? 「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法

暮らし

公開日:2016/10/10

『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(大嶋信頼/すばる舎)

 仕事でも日常生活でも、なぜか一方的に振り回す人と振り回されてばかりの人が存在する。しかも、同じ人に同じことをされているのに、振り回されていると感じる人と感じない人がいる。果たしてその違いはどこにあるのだろうか? 何をどうすれば周りに振り回されずに済むのかを知るために『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(大嶋信頼/すばる舎)を取り上げる。

考えすぎる人が振り回される

 周りに振り回されて疲れてしまう人には共通点がある。必要以上に相手の顔色をうかがったり、言葉の裏を読んだりしてしまうという点だ。相手の気持ちを考えすぎて、怒らせないように、悲しませないように先回りしてしまうのだ。自分の本音を抑えて、相手の気持ちを想像して動いてしまうため、相手の気持ちに振り回されている気分になる。では、なぜ先回りしてしまうのか? 自己評価が低く、劣等感が強いからだ。他人からの評価が気になって、相手に認められようと必死になってしまうため、知らず知らずのうちに自分を相手の下に置いてしまう。もう少し相手の気持ちを察知する感度を落とすことができれば振り回されずに済むのに、敏感に反応しすぎて、一喜一憂してしまうのだ。

相手の気持ちなどわからなくて当たり前

 相手に振り回されてばかりの人は、相手の気持ちを考えすぎるのが原因だと述べた。しかし、本当に相手の気持ちがわかって行動しているのだろうか? 相手によかれと思ってしたことに対して、相手が思ったような反応をしてくれないから腹を立てたり、落ち込んだりする。それを振り回されているというのであれば、本当は相手の気持ちがわかっているとは言えないかもしれない。「あの人の気持ちが、他人である私にわかるわけないじゃないか」と思うことができれば、腹も立たないし落ち込むこともない。自分の気持ちでさえ本当に正しく理解できているかわからないのだから、他人の気持ちをわかった気になるのをやめるだけでも振り回されなくなると著者は言っている。

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自分が自分であるためには「自我防壁」が必要

「周りに振り回されてしまう人」は、「成長過程で自分を守る『自我防壁』をうまく作れなかった人」だとこの本では言っている。自我防壁とは、「私は私、あの人はあの人」と割り切ったり、自分にとって不要な感覚を跳ね返したりする心の中の壁のようなものだ。だから、他人の言動に振り回されないようにするためには、しっかりとした「自我防壁」を心の中に作らなければならない。きちんと自我防壁が作られれば、要らない劣等感を覚えることもなくなるはずだ。

「麻痺」を「愛」だと勘違いしてはいけない

 ダメな人ばかり好きになってしまう人や、イライラさせられる人ばかり構ってしまう人は、脳内麻薬による「麻痺」を「愛」だと勘違いしている可能性がある。怒りに耐えながら振り回され続けていると、脳内麻薬が分泌され、正常な感覚が麻痺してしまうのだ。脳内麻薬の恐ろしいところは、それを断ち切ろうと相手から離れると、退薬症状に襲われる点だ。退薬症状とは、薬やお酒を飲み続けていた人が急にやめたときに襲われる禁断症状と同種のもの。退薬症状の辛さを和らげるのが脳内麻薬だからこそ、腐れ縁ほどなかなか断ち切ることができなくなってしまう。

「認めてほしい」気持ちから解放されることが大事

 他人に認めてほしい気持ちが強いと、相手の言動に一喜一憂することになる。自分は自分。相手が認めてくれてもくれなくても自分だから平気。そう思うことが、振り回しから解放されるためには必要だ。他人の評価を気にしないというのはけっこう難しいことだが、それができれば穏やかな日々がやってくる。せっかくそのことを知ったのだから、今すぐ脳内麻薬中毒からのリハビリを始めよう。

文=大石みずき