劇場型自殺事件を起こした女性の謎に迫る、有能研究者。第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作『虹を待つ彼女』に絶賛の声続出!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/13

 2016年9月30日(金)に発売された、第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作『虹を待つ彼女』が大反響により発売から一週間で早くも重版されることが決定した。

 ドローンを使って渋谷を混乱に陥れる衝撃的なシーンで幕を開ける同書は、死者を人工知能化するプロジェクトに携わることになったひとりの研究者が、劇場型自殺事件を起こした女性の謎に迫るミステリー。イラストレーター・loundrawが描き下ろした美しい装幀も好評を博し、発売直後から大きな話題を呼んでいる。loundrawは同書に対し、「実際に手にとって、物語を読んで、それからカバーを外して眺めてほしいです。僕は感動しました」とコメントしている。さらに、書評家・評論家・書店員からも続々と絶賛の声が届く。

本書をミステリだと限定してしまうのは、勿体なさすぎる。私は個人的に、これは異色の恋愛小説だと思っている。その、異色、の部分が上質なミステリなのだ、と。(中略)本書は、極上の恋愛小説と、極上のミステリを同時に味わえる傑作である。吉田伸子(書評家・「本の旅人」2016年10月号)

ネット時代の世界観と、人間ならではの感情が溶けあいながら、どこに連れて行かれるのかわからない斬新なサスペンスが楽しめる。西上心太(文芸評論家・「毎日新聞」10月1日朝刊)

フリクトという人工知能との対話アプリが現実化した近未来。死者をよみがえらせるという新しい人工知能プロジェクトから掘り出される過去の劇場型自殺とその謎。なんだろう、この追いつめられ感と解き放たれ感の混在は。粘着と執着の決着がこんなにも開放的で呆然とする。おもしろいおもしろい、おもしろいとしか言いようがない。久田かおりさん(書店員・精文館書店中島新町店)

ドローン、ゲーム、人工知能といった現代的な素材を駆使して描き出される、「ムーン・リバー」の音色に彩られた極上のロマンス。手の届かないものへの憧れと痛みに射抜かれる忘れがたい読書体験を、ぜひ一刻も早く味わっていただきたい。横溝賞史上屈指の出来栄えであり、「二〇一〇年代もっとも美しいミステリ新人賞受賞作」と後年讃えられるに違いない。宇田川拓也さん(書店員・ときわ書房本店)

 すでに読み終わった読者たちからの声も紹介していこう。

advertisement

人工知能を扱ったサイバーミステリとしても恋愛小説としても、また変形の暗号ミステリとしても面白かったです。3つのダニットを結びつける伏線回収が素晴らしかった。綾野水生さん(読者モニター・20代男性)

人工知能の光と影を、見事に描いていた。テーマはたくさん盛り込んであるのに、ストーリーは簡潔で分かりやすい。一気読み必至だが、ゆっくり丁寧に読み返し、興味深いテーマについて逡巡したい衝動に駆られる。akabeeさん(読者モニター・30代女性)

話の展開が全く予想出来なくて、先が気になりページを捲る手が止まらなかった。デビュー作とは思えない程、素晴らしい作品だと思う。意外な結末も感動的で、「虹を待つ彼女」というタイトルがピッタリだった。リンドさん(読者モニター・40代女性)

 二転三転する先の読めないストーリーや、その鮮烈なラストシーン。大型新人のデビュー作をぜひ自身の目で確かめて欲しい。

■『虹を待つ彼女』あらすじ
2020年、人工知能と恋愛ができる人気アプリに携わる有能な研究者の工藤は、優秀さゆえに予想できてしまう自らの限界に虚しさを覚えていた。そんな折、死者を人工知能化するプロジェクトに参加する。試作品のモデルに選ばれたのは、カルト的な人気を持つ美貌のゲームクリエイター、水科晴。彼女は6年前、自作した“ゾンビを撃ち殺す”オンラインゲームとドローンを連携させて渋谷を混乱に陥れ、最後には自らを標的にして自殺を遂げていた。晴について調べるうち、彼女の人格に共鳴し、次第に惹かれていく工藤。やがて彼女に“雨”と呼ばれる恋人がいたことを突き止めるが、何者からか「調査を止めなければ殺す」という脅迫を受ける。晴の遺した未発表のゲームの中に彼女へと迫るヒントを見つけ、人工知能は完成に近づいていくが――。

img02

逸木裕(いつき・ゆう)
1980年東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。本作で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。

※掲載内容は変更になる場合があります。