どうしてSNSには、平気で嘘をつく人がいるの? その心理とは

社会

2016/10/26

『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』(M・スコット・ペック:著、森英明:訳/草思社)

 何がデマかホントかしっかりと見極めなくてはならない世の中だ。たとえば、最近問題となったのは、「NASAが『12星座が本当は13星座だったと発表したため、星座占いの星座が変更になるらしい』」というデマ。星座がもともと13個なのは、NASAの新発見でも何でもなく、広く知られている事実なのだが、米国を中心にSNSや口頭で伝えられるうちに、「NASAの新発見で星座が変わる」という壮大な流言となってしまったようだ。自然発生的に誕生したデマならば仕方がないのかもしれないが、世の中には、わざと嘘をつき 、デマを流そうという人もいる。そういう人は一体どういう心理で嘘をつくのだろうか。

 精神科医 M・スコット・ペックは、著書『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』(草思社)の中で、いとも簡単に嘘をついて しまう人々を「邪悪な人々」と呼び、その実態に迫っている。ペック氏に言わせれば、「邪悪な人々」は、決して珍しい存在ではなく、どこにでもいるような、以下のような特徴がある人物だという。

・自分のことを欠点のない完璧な人間であると過信している
・他者の意見に聞く耳を持たない
・立派な体面や優れた自己像に強い関心を抱き、世間体を気にしている
・精神的に弱く、自分への批判に対して過剰な拒否反応を示す
・不利な状況に追い込まれた時には、平気で他人に責任転嫁する

「邪悪な人々」の道徳性を理解するためには、「イメージ」や「外面」といった言葉が重要となる。彼らは平気で嘘をつき ながらも、善人であるかのように見られることを強烈に望んでいる。常に、こじらせた自己愛から生まれた完璧な自己像を守り、自己顕示欲を満たそうとしている。自己像を守るためだったら、嘘をつくことも、他人を陥れることもいとわない。

 嘘をつくのは、どのような場合においても、何かを隠すためにほかならない。嘘をつくという行為の前に何らかの良心が基本的な形で介在しているはずである。彼らは、無意識のうちに自分の欠点と向き合う苦痛から逃れようとしている弱い人間であるのだ。「自分は、もしかしたら『邪悪な人』なのかもしれない」と思ったならば、自己を批判してみることから始めるといい。自分の欠点を真正面から見つめることで自分の邪悪さから克服できるかもしれない。

 インターネットの隆盛によって、誰もが発信者となることができる時代となった。ネット上で注目を浴びることは気持ちいい。だからこそ、変に自己顕示欲をこじらせる人も増え、自分をいかに大きく周りに見せるかどうかに気を配り、果てには平気で嘘をついてしまう人々も増えてきているように思える。SNSで嘘をついて注目を浴びようとしたり、デマを流し、多くの人を混乱させることに喜びを感じたりするなど、自己顕示欲をこじらせてしまっている人は後をたたない。そういう「邪悪な人々」に惑わされることのないよう、情報の受け手のリテラシーがこれから益々求められる時代となりそうだ。

文=アサトーミナミ