1,000円以下で最高の空間を味わう! “サードプレイス”としてのホテル活用とは? 【4つのホテル】

暮らし

2016/10/30

『大人を磨くホテル術』(高野登、牛窪恵/日本経済新聞出版社)

 扉を開けば魔法のような時間が流れ出す。ドアマンの笑顔に迎えられて歩を進めれば、そこはもう別世界。素晴らしいインテリアに、行き届いたもてなし。一流のホテルのみが持つ、心地よい緊張感とこの上ない寛ぎの絶妙なバランスにゆったりと身体を委ねる…。

 こんなホテルライフの魅力を惜しみなく教えてくれるのが、本書『大人を磨くホテル術』(高野登、牛窪恵/日本経済新聞出版社)だ。ナビゲーターは、ホスピタリティの伝道師ことザ・リッツカールトン・ホテル・カンパニー前日本支社長の高野登氏と、国内100以上のホテルに宿泊経験を持つホテルフリークのマーケッター牛窪恵氏である。

 本書は三部から構成される。第一部は高野氏が垣間見せてくれるホテル哲学の世界。ゲストの望みをかなえようと奔走するホテルマンたちのプロ意識には背筋が伸びる。またそんな彼らの師となるのは厳しくも温かいゲストだという。ゲストとホテルマンの感性のぶつかり合いが、さらに高次のホスピタリティを生み出していくのだ。

 本書がただのホテルガイドではなく『大人を磨く』と銘打っている理由はここにある。ホテルとは、そこに身を置くすべての人の感性を磨き、人生を洗練してくれる出会いの場であるからだ。

 第二部は高野氏と牛窪氏によるスペシャル対談。おもてなしの美学とゲストの感性とが出会う。第三部はいよいよ牛窪氏によるホテルライフの手ほどき。ゲストの気持ちを知り抜いたホテルフリークならではの視点から、かゆいところに手の届くアドバイスをしてくれる。TPOに合ったホテルの選び方から、コンシェルジュの活用術、さらには憧れのホテルにオトクに泊まるコツなど必見。

 泊まる人の数だけホテルの過ごし方はあるが、私がとりわけ興味を惹かれたのは“サードプレイス”としてのホテル利用。サードプレイスとは、会社と自宅との間にある第三の居場所。いつものカフェもいいけれど、たまにはもっと優雅な気分がほしい…。そんな望みもホテルは満たしてくれる。

 例えばふらりと、(1)東京ステーションホテルのバースペース パサージュへ足を運んでみる。「ここで窓越しに東京駅の風景をぼんやり眺めながらひとり、1杯のカクテルを時間をかけて飲むひとときは、格別」だそう。夜景を楽しむなら(2)パーク ハイアット 東京がおすすめ。「41階のピーク ラウンジから望む妖艶な都会の夜は、あまりに艶やかで、まさに「息を呑む」しかありません」。(3)ホテルメトロポリタンのクロスダインや、(4)山の上ホテルのコーヒーパーラーヒルトップで気軽にコーヒーを楽しむのもいい。ホテルのラウンジはハードルが高いイメージだが、コーヒー1杯が1,000円以下で楽しめる所も多いとのこと。最高の空間での一杯は、何物にも換えがたいひとときをもたらしてくれる。

 大切な人のために、自分自身のために。とっておきの場所を自分のものにしていること。大人の余裕は、意外とそんなことから生まれてくるのかもしれない。

文=桜倉麻子