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スーパームーンや流星群のひみつもわかる! Eテレ『サイエンスZERO』ナビゲーター・竹内薫が解説する宇宙の疑問

『誰かに教えたくなる宇宙のひみつ 理系親子になれる超入門』(竹内薫/徳間書店)

 寒さが増す昨今だがその分、空気が澄み天体観測に適した季節になってきた。その幕開けともいえる天体ショーといえば、11月のおうし座流星群とスーパームーンだろうか。特に今回のスーパームーンは68年ぶりとなる大きさで見えたのだが、当日は小生の住む横浜も含め、全国的にあいにくの曇り空。しかし翌日には晴れ、少しだけ小さくなった月が綺麗にビル街を照らしていた。このような話題で賑わうと宇宙への興味が増す読者諸氏も多いのではないか? しかし、宇宙関連の書籍は難しいイメージがあるかもしれない。そこでお勧めしたいのがこの『誰かに教えたくなる宇宙のひみつ 理系親子になれる超入門』(竹内薫/徳間書店)だ。

 本書は著者の竹内薫氏が以前に行った、宇宙に関するミニ講義をもとにまとめたものである。竹内氏といえばサイエンス作家であり、理学博士。そしてNHK Eテレの科学情報番組『サイエンスZERO』でのナビゲーターとしても知られる。難しい数式を使わず図解を多く用いた内容は、タイトルに「理系親子になれる」とあるよう、まさに子供と一緒に学べる一冊だ。

 とはいえ、やはり宇宙は広くて深い。本書も入門書ながらも扱う項目は幅広く深いもので、歯ごたえは十分。宇宙の始まりからその成り立ち、銀河をその重力で形作ると考えられている「ダークマター」や、陽子や中性子を形作る「クォーク」に、素粒子17種を作る基礎と考えられる「超ひも理論」などの解説もある。勿論、それぞれを詳しく解くならば、各自に本が一冊以上できてしまうのだが、ごく基本的なことは本書でイメージできると思う。

 それらの項目の中で小生が特に注目したいのは「重力波」の解説だ。「重力波」といえば、今年の2月についに検出されたと世界的ニュースになったが、その話題に対しどれだけの人々が理解できたのだろうか。恥ずかしながら小生も漠然と「重力の強弱が宇宙の彼方から届いたんだなぁ」程度にしか思っていなかった。だが、そこにはもっと深い意味があったのだ。

 そもそも、重力波とは「時空の歪みが非常に微小な波として伝わってくる現象」だという。「時空のさざ波」とも呼ばれるそうだ。一般的に物のない状態を「空間」と呼ぶが、実際には重力が伝わっている。全ての物と物との間には重力があり、それがかのニュートンが発見した「万有引力」であるのだが、その力はどのように伝わっているのか? のちにアインシュタインが「その間を重力が波の形で伝わる、それが万有引力なのだと」提唱。本書ではそれを「重力子という素粒子が伝わっている」と言い換えられると説く。ただし重力子の素粒子自体は未発見という。そして話題の重力波は「ブラックホールが合体した時に起こった衝撃が、重力子を媒介とし、波として私たちのところまできたのを初めて観測した」ということだ。

 また、それは同時にブラックホールを直接観測したことでもある。これまでにブラックホールへ星が飲み込まれる際に出すX線のようなものを観測し、その存在を予測していたに過ぎないのだが、今回の重力波の観測によりその存在が確定したといえる。

 もっとも、重力波もブラックホールも肉眼で見えるものではないので、まずは身近な天体ショーから宇宙を感じてほしい。実は、おうし座流星群はピークこそ過ぎたものの、25日まで見られるそうだ。小生自身、15日深夜に一筋の流れ星を見ている。また、12月にはふたご座流星群とこぐま座流星群も観測できる。ただ、どちらもピークの夜は月が明るいので、出来る限り暗い地点で月と反対方向の空を見ると良いだろう。

 勿論、本書には月の秘密や流れ星の秘密も書かれている。宇宙の秘密が明らかになるほど、ロマンが薄れるという意見も聞くが、とんでもない。この宇宙で解析できた事象などまだまだ僅かなもの。そして知れば知るほど、その奥深さに惹かれるというものだろう。まずは本書で基礎を学び夜空を見上げよう。ブラックホールのような壮大な天文現象を意識したとき、きっと宇宙はいつもと違って見えるはず。

文=犬山しんのすけ

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