無表情の相手の気持ちを知るには…? 人をあやつる“ずるい”心理学のテクニック

暮らし

公開日:2016/11/28

『ずるい心理学~上司に得意先、先輩、同僚も年下まで、なんかいいように“使われている”~』(齊藤勇/ぱる出版)

「彼を知り、己を知れば百戦あやうからず」とかつて孫子は語っていた。相手の情報と自分の状況・状態を正しく把握していれば戦では負けることがないという教えだ。わが身に置き換えれば、気になるあの子や出世を競う同僚、何かと口うるさい上司の本音ということになろう。とはいえ、自分の周りの人が心の中で何を考えているかは、なかなかわからないもの…。

 もっと彼らの本音がわかるなら、余計な誤解を与えずに自分の意見を伝えたり、時には自分の思い通りに相手を動かしたり、なんて“ずるい”考えが出てきてしまうのは、きっと私だけではないはずだ。人の心理を読み取り、思いのままにあやつる方法を伝授してくれるのが『ずるい心理学~上司に得意先、先輩、同僚も年下まで、なんかいいように“使われている”~』((齊藤勇/ぱる出版)。人のしぐさや表情、習慣やクセといったノンバーバル(非言語)・コミュケーションから人間心理を読み解く一冊となっており、簡単にできるものばかりなので、すぐに実践可能だ。以下にいくつか気になったテクニックを紹介しよう。

無表情の相手の気持ちを知る方法

 商談や取材先といった場面では、相手の気持ちを知るのは必要不可欠で「商品に興味を持っているか」「本音で語ってくれているのか」は仕事に直結する。そんな中で困ってしまうのが“無表情”な人だ。表情は真っ先に感情が表れる部分。表情から気持ちが読み取れない場合にはどうしたらよいのだろうか。

advertisement

 本書曰く「体と目の動き」から読み解くのだそう。例えば名刺交換をした後、すぐ距離をとる人は恐れや警戒心を抱いている。反対に名刺交換をしたそのままの距離で話ができる人は親しみを感じてくれているそう。また、目の動きでは視線が定まらない人は落ち着きがなく、話に集中できていない。目線がじっと話し手に向いている場合は、話に興味・関心を示している。さらに、瞳の瞳孔が開いている場合には強い関心を示しているという。

言葉の説得力をアップさせる方法

「痛みに耐えてよく頑張った、感動した」――少し昔になってしまうが、小泉純一郎元首相の名言のひとつ。他にも「自民党をぶっ潰す」など多数あるのだが、いずれも大きく二つの特徴がある。それは、短いセンテンスで、かつ強い口調で伝えることだ。例えば商談の際にダラダラと説明をし、「~かもしれない」という曖昧な言葉を連発されてしまえば、聞き手としては不安を抱く。だからこそ「短く・強く」相手に伝えるべきなのだという。

苦手な相手を手玉に取る方法

 雨の中、傘を差している不良が捨てられた子猫に向かって一言。「お前もオレと一緒なんだな…」と子猫を抱きかかえる。普段は周囲から疎まれる不良のこんな一面を目撃したら「あ、いい人なのかも」と感じてしまう。この心理を「認知的不協和」と呼ぶそう。これは自分が思っていたことと違う現実に直面すると、相手への認識を現実に合わせようとする心の動き。これを会社などで使うと苦手な人を手玉に取ることができるのだとか。具体的な方法として、相手に感謝をしたり、褒めたりするべきなのだという。そりが合わないと思う人は相手も同じように思っているもの。そこで、上記のような行動をとることで「認知的不協和」がおこるそう。あからさまな態度ではなく、自然とおこなうのがポイントだ。

人間関係が円滑に進む、相手が喜ぶ「さしすせそ+そ」

 人間関係を円滑にするためには、相手に喜んでもらったり、楽しんでもらったりすることが必要。そこで効果的なのが「相手を褒める」「あいづちを打つ」ということだ。これは「さすが」「知らなかった」「すごい」「絶対」「そうですね」「それで(それから)?」という6つのフレーズが使いやすく便利だという。ちょっと意識するだけで使えそうなので、実践しやすいだろう。

 本書に書かれているテクニックは、簡単に実践できるものばかり。毎日ひとつずつ職場や飲み会などで試してみる…という使い方はいかがだろうか。またテクニック以外にも【あなたの本性がわかる心理テスト】が全部で29個記載されている。“己を知る”ために使うのもいいだろうし、友人同士で遊んで絆を深めるのもいいかもしれない。

文=冴島友貴