「旦那に内緒で…」「Mは○○の仕事をしている人が多い」風俗、ハプニングバー…『トゥナイト2』名物”カントク”が今の歌舞伎町を丸裸にした!

社会

2016/11/26

『風俗という病い』(山本晋也/幻冬舎)

 外国人が多く訪れる観光地となった新宿・歌舞伎町。チェーン居酒屋が増え、映画館も立ち、若い女の子グループが歩く姿もよく見かけます。たまにボッタクリ店がニュースにもなったりもしますが、東京都が頑張ったおかげか、かつてほど、“危ない風俗街”というイメージはありません。

 しかし、それは表向きの話。私たちの見えないところで、今でも歌舞伎町は、アジア最大の歓楽街として息をしているのです。日本のエロと風俗を半生記にわたり見てきた生ける伝説・山本晋也が、著書『風俗という病い』(幻冬舎)で、その全貌を明らかにしています。

 著者は、かつてテレビ朝日の深夜帯に放送されていた『トゥナイト2』の名物リポーター・通称カントクです。その昔、新聞のテレビ欄で『トゥナイト2』の文字を見つけては、ドキドキしていたという方も多いのではないでしょうか。女性を上裸にしたり、ラブホテルに突撃するような番組、現在はもうないですね。あったら大問題です。

 そんなカントクが、書いた本なわけですから、面白くないわけありません。もし、タイトルで敬遠する女子がいるのならば、それはかなりもったいないです。というのも、日本のエロ文化の発展について、こんなにわかりやすく爽やかに、かつ興味深く、哲学的にまとめた本があったでしょうか? いや、ないでしょう。それくらい日本人のエロと風俗について詳しく書かれているのです。

 冒頭ではさっそく、ハプニングバーで男女がまぐわうところから始まります。白昼に集うその男女は、ほとんどが常連だそうで、「旦那に内緒でときどき来てる」という主婦もいます。カップル同士で来る人もいれば、SNSで同じ嗜好を持つ仲間を見つけて楽しむグループもいるんだとか。夜になるとさらに人は増え、ホテル変わりに毎日訪れる若者もいるといいます。

 盛り上がっているのはハプニングバーだけではありません。次にカントクが訪れたのは、昔なじみの女王様がママをしているSMバーです。愛好家だけでなく、ノーマルな行為に飽きた人がさらなる快楽を求めて扉を叩くのがSMです。

 ママいわく「日本人のほとんどがSで、Mは何かを創造する仕事をしている人が多い」のだそうです。ですが、恐らくほとんどの人が、生涯自分がSかMかわからず死んでいくのではないでしょうか。しかし、それでいいのか? 自分がSかMかもわからず、本当に大人になったと言えるのか!? 本書を読んでいると、そう思わずにはいられなくなってきます。

 ほかにも、戦時中に生まれた最初の風俗嬢だとか、バブル期に流行したノーパン喫茶・ストリップ・テレクラだとか、昨今の主流であるファッションヘルス、JKビジネスだとか、気になるけど聞けなかった風俗の実態が赤裸々に書かれています。これを読んだあなたはきっと気づくはずです。自分が知ってるエロの知識は、ほんの上澄みにしか過ぎなかった……ということに。

 ちなみに、筆者個人的には、『酔狂の求道者たち』という章がひたすら面白いのですが、とてもここで書ける内容ではないのが悔しいです。ざっくり言うと、男たちが集まって、ひたすら快楽を追求します。情景が目に浮かんでくるような、素晴らしい章なのでぜひ読んでもらいたいです。

 あとがきで著者はこう言います。

「風俗は嘘みたいな話ばかりだけど、現実なのだ。妄想が本当にある。こういうおかしな世界が多少なりとも面白いかもと思っていただけたとしたら、本望です」と。

 もはや、ティム・バートンの作品を見てる場合ではありません。もっとミステリアスでダークなリアルファンタジーが、歌舞伎町に存在しているのです。本書を読んで、ちょっとだけ不思議な世界を覗いてみるのもいいかもしれませんよ。

文=木綿ワカメ(清談社)