宮部みゆき、幻の作品が絵本化! 姿の見えない怪獣・クマーの美しくもせつない物語

文芸・カルチャー

2016/11/30

 『ブレイブ・ストーリー』や『ソロモンの偽証』などの傑作を生み出し続ける宮部みゆきと、「魔女の宅急便」や「ハウルの動く城」シリーズなど有名ファンタジー作品の装画を数多く手がけてきた佐竹美保が、初タッグを組んだ絵本『ヨーレのクマー』が2016年11月21日(月)に発売された。

 絵本を開いても、しばらくはクマーの姿がみえない。実は、主役のクマーは透明なかいじゅうだからだ。不自然に宙に浮かんだ動物や植物の影、光の反射などで、目には見えないけれど、そこにいることだけがわかる。

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 だれにも存在を知られることのないクマーは、それでも大好きなヨーレの町の人々を守るため、悪い怪獣と毎日たたかっている。

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 だれに感謝されることもないけれど、命がけ。そんなクマーは、どんな色で、どんなしっぽをもっていて、どんな顔をしているんだろう? そんな想像をめぐらせればめぐらせるほど、物語の後半、その姿が見えてしまったとき、「えっ」と驚くはずだ。

 同作は、宮部みゆきのミステリ小説『悲嘆の門』の作中に描かれた絵本『ヨーレのクマー』を実際に絵本化したもの。『悲嘆の門』本文中には、株式会社クマーという、サイバー・パトロール(ネット社会の警備)を行う架空の会社が出てくる。ネット上に潜む、危険、犯罪、悪意を取り締まる株式会社クマー。その社名は、社長が「子供のころ好きだった絵本に出てくる怪獣の名前」から取ったものだと知った主人公・孝太郎は、興味を引かれ、絵本を探して神田の古書店を巡る。そこで出会うのが『ヨーレのクマー』という絵本。作中で主人公が実際に手にした絵本をあわせて読むと、小説の世界もより一層、臨場感をもって楽しめるだろう。

 透明で、ひとりっきりで、頑張っているやさしいクマーのことは読者だけが知っている。しかしこの絵本は、最後に読者からも、やさしいクマーをうばおうとしてしまう。衝撃のラストページまで目が離せない絵本だ。

 現在「絵本ナビ」では同作の“全ページためしよみ”ができるほか、宮部と佐竹による対談を見ることができる。『ヨーレのクマー』製作のウラ話や、2人の取材方法、創作秘話など、貴重な話が盛りだくさん。こちらも要チェックだ。

⇒“全ページためしよみ”はコチラから ※1回のみ。メンバー登録要。
⇒「宮部みゆき×佐竹美保 対談インタビュー」はコチラから

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