妖怪や幽霊が跋扈する香月日輪ワールドにどっぷり!

香月日輪

2012/1/4

 ダ・ヴィンチ1月号の「海外出版レポートNEO」という企画で、筆者の新元良一は、村上春樹の海外人気について下記のように記している。

妖怪、幽霊たちとのユーモラスで温かい、そしてちょっぴり相容れない怖さを描き、子どもはもちろん大人も夢中にしている香月日輪さん。これまで講談社より刊行された作品群が、ついに累計200万部を突破! そして『大江戸妖怪かわら版』待望の文庫化も! そんな“まつり”の渦中にいる香月さんに突撃インタビュー!

 「累計200万部突破……。その数字がどれだけ大きいのかも、よくわからなくて。正直、“そうなんですかぁ”という感想しかないんですよ(笑)」(香月さん)

 まさに妖怪……? いやいや、ご本人は小柄でとってもチャーミング。インタビューのために訪れたカフェでは、メニューを一瞥するなり、当然のように頼んだ地元・大阪のてっぱんメニュー、ミックスジュースを飲みつつ、香月さんはそう言ってコロコロ笑った。

 「自分が小説家になるなんて思っていなくて。高校卒業後、英語の専門学校へ行ったんですけど、そこでタイプを打つことがすごく好きになったんです。そうしたら父親がワープロを買ってきてくれました。とりとめもなく文章を打ってみたりして。それが『地獄堂霊界通信』の1作目、『ワルガキ、幽霊にビビる!』の原形です」

 ついに待望のコミック第1巻が刊行された〈妖怪アパートの幽雅な日常〉シリーズ、RPGの中に入っていくようなワクワク感のあるファンタジー〈ファンム・アレース〉シリーズ、“イタズラ大王三人悪”の痛快な冒険と彼らの成長を描いた〈地獄堂霊界通信〉シリーズと、それぞれの扉を開けるたび、その創作力の果てしない豊潤さに舌を巻く香月ワールド。そしてついに、中でも異彩を放つ〈大江戸妖怪かわら版〉シリーズの文庫、第1巻刊行!

 「YA! ENTERTAINMENTから出発した“妖アパ”も、文庫化で大人の方にも読んでいただけるようになって。こちらは時代物だし、さらに読みやすいかと。“いい年して、妖怪もの買うのもなぁ。でも好きなんだよなぁ”という方には、ぜひとも手に取っていただきたいですねぇ(笑)」

 龍や大蝙蝠が空を飛び、隅田川には大蛟、飛鳥山には化け狐。大兎が営むウマいめし屋に、いなせな水神の火消したち……と、複雑怪奇な住人たちが蠢く魔都・大江戸。かわら版屋の記者として働く少年・雀はこの町でたったひとりの人間だ。調子のいい江戸言葉に乗って、物語は雀と彼を取り巻く人々、日常から飛び出す不思議な事件を映し出していく。

 「舞台は『大江戸』という江戸とは異なる架空の世界なので、難しい時代考証はせずに自分の好きなようにつくりました。面白い江戸言葉を見つけては、物語の中で試したり。執筆はすごく楽しかったですね。出てくる妖怪たちも、“こんなの、きっといるだろ!”って、次々と思い浮かべて。(中略)私が心掛けているのは、どんなキャラクターも等身大であれ、ということ。理想とか、無理なこととか、美しい言葉は不要なんですね。あくまでも等身大の一個人であって、そこからはみ出さない生き方、考え方を書くというのは、どの作品でも貫いているつもりです」

 そんな香月さんの思いを乗せ、開催中の「香月日輪まつり」では、豪華な小冊子『香月日輪の地獄の日常』をプレゼント。そこにはなんと、自筆の超レア“裏マンガ”も掲載!

 「実はこれ、イベントでコピー本として売っているものの一部なんです。きっと持っている人もいらっしゃるはず……。あ! でも、コピー本を売ったのは大阪オンリーで、70部くらいだから、大概の方は初めてですよね(笑)。お楽しみに!」

(ダ・ヴィンチ1月号 davinci pick upより)