国語辞典はこんなにも面白い!! サンキュータツオが教える、ディープな辞典の魅力

文芸・カルチャー

2017/1/3

 オタクで、学者で、芸人のサンキュータツオさんが、辞書の楽しみ方や選び方を徹底ガイドしている『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』(サンキュータツオ/ KADOKAWA)が文庫化された。ユニークで愛すべき国語辞典の魅力を紹介した本作は、映画化やアニメ化もされた大人気小説『舟を編む』の著者である三浦しをんさんも「楽しい辞書の旅を味わえること請け合いです」と大推薦! さて突然だが、あなたは辞書について以下のように思ってはいないだろうか?

・どれも似たり寄ったりだ。
・中学校入学のときに買った一冊を一生使えばいい。
・ことばの正しい意味が載っているだけでしょ。
・授業で必要だから買ったけど……。
・読めない字があって、よほど困ったときにひくもの。
・ひいても、自分の疑問や迷いを解決してくれない。
・解説の羅列だけでおもしろくない。つまらない。

 本書で、サンキュータツオさんは「残念ながら、これらはすべてまちがいです」と言い切っている。国語辞典は編者や執筆者たちの熱い想いと深い哲学が詰まっていて、辞書によってちがった魅力や個性があり、楽しさがあるのだ。

あなたの辞書に「巨乳」「貧乳」は載ってる?

 国語辞典によって載っている言葉はちがう。よく使われている言葉を載せるというスタンダードな国語辞典もあれば、若者言葉や現代語を載せるよというフランクな辞書もある。

 例えば、大修館書店の『明鏡国語辞典』という国語辞典の場合、スラングにちかい言葉や、俗な言葉がいっぱい載っていて、ほかの辞書では載せない「巨乳」や「貧乳」という言葉も載せている。本書では各辞書の個性を男性キャラクターにたとえて紹介。巻頭には「辞書占い」と題し、自分と相性のよい辞書キャラを簡単に探すことができるようになっている。

 国語辞典によってキャラがあり、読み比べて楽しむというのも辞書の遊び方のひとつだが、サンキュータツオさんは「版」ごとのちがいを楽しむこともオススメだという。この「版」とは「初版」「改訂版」の「版」のことで、国語辞典を引いたときに載っている解説文は、国語辞典によってその表し方がちがい、「版」ごとでもちがっているのだ。本書で解説されている「恋愛」の語釈について、『新明解国語辞典』における変遷を紹介していこう。

恋愛【れんあい】

初版→一組の男女に相互に相手にひかれ、ほかの異性をさしおいて最高の存在としてとらえ、毎日会わないでいられなくなること

第三版→特定の異性に特別の愛情を抱いて、二人だけで一緒にいたい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常には叶えられないで、ひどく心を苦しめる(まれにかなえられて歓喜する)状態。

 初版にくらべ第三版のほうが、語釈が長くなり、よりくわしく表現されている。第三版の語釈では「合体」という言葉が追加されていて、子どもの恋愛から大人の恋愛へと足を踏み入れていく成長の過程が見えて、なんだかひどく甘酸っぱい気持ちになる。ちなみに、本書では嫉妬の要素まで入ってきた第六版の語釈も紹介されているので、気になる人はぜひ読んでみてほしい。

 もし辞書に対して、説明的に言葉が解説してあるだけ、という意識を持っている人がいたとしたら、ぜひ本書を手に取ってほしい。本書を読めば、ユニークで愛すべき辞書の世界を知ることができるはずだから。辞書を知り尽くした人でなければ書けない、辞書愛の詰まった一冊、これを読めばきっと新しい辞書がほしくなるぞ!

文=なつめ