『にこにこ、ぷん』じゃじゃ丸の名字は”ふくろこうじ”だった!? NHKのこども番組を彩った80’キャラたちの知られざる素顔!

テレビ

更新日:2016/12/31

『NHKなつかしの’80sキャラクター』(宝島社)

 子供向けの番組を多数放送しているNHK教育テレビ(現・Eテレ)。幼いころにはテレビにかじりついて観ていた、というオトナも多いことでしょう。今回発売された『NHKなつかしの’80sキャラクター』(宝島社)は、タイトルにもある通り、80年代のNHK教育テレビで放送されていた番組のメインキャラクターに会える一冊です。

 もっとも代表的なキャラクターといえば、長寿番組『おかあさんといっしょ』の人形劇のコーナー『にこにこ、ぷん』(1982~1992年)に登場していた「にこにこ島」で暮らすゆかいな仲間たちではないでしょうか? そう、ふくろこうじ・じゃじゃ丸(推定5歳)とふぉるてしも・ぴっころ(推定3.5歳)、そしてぽろり・カジリアッチIII世(推定4歳)のお三方です! ただ、当時『にこにこ、ぷん』を観ていたアラサーの筆者ですが、お恥ずかしながらこの本を読むまで、彼らのフルネームを知りませんでした。名字もあったんですね。

 同書には、本名のみならず、じゃじゃ丸の特技が「三味線・浪花節」だったり、ペンギンのぴっころが「泳ぐこと」がキライだったり、ぽろりが海賊の名門「ねこいらず・カジリアッチ」の子孫であるなどのプロフィールまで、事細かに書かれているのです。

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 なかでも「知らなかった『にこぷん』のひみつ」という特集には、「3人のおかあさんが登場しない理由」や「じゃじゃ丸の『オッス!』に隠された思い」など、にこぷんにまつわるひみつがひっそりと公開されています。『にこにこ、ぷん』マニアならば常識の範疇かもしれませんが、彼らのファーストネームしか知らなかった筆者のような輩にとっては、読み応えのある内容でした。

『にこにこ、ぷん』だけでなく、ほかのNHKこども番組が多数掲載されているのも、同書の魅力。なんと、大人気工作番組『できるかな』に出演していたチューリップ帽子の男性・ノッポさんへの単独インタビューも掲載されているのです。ノッポさんといえば、20年間「無言」で工作をしつづけ、コミカルなジェスチャーが印象深いキャラクター(?)でしたが『できるかな』の最終回で「ええ、知ってますよ」と発言したことが、当時話題になりました。そのことについて、ノッポさんは……

あのときは僕が『最後ぐらいは自分の言葉で挨拶をして終わりたい』という話をしたら、まわりのスタッフから『黙ったまま、終わろうよ~』と猛反対されたんです。僕は、自分の声がどれだけいい声をしているか聞かせたいという思いもあってしゃべろうとして(笑)。結局のところ、まわりの人も『ノッポさんが言うんだったら仕方がない』ということで、しゃべりました

 言葉通り20年の沈黙を破った歴史的な瞬間だったため、今でも印象に残っている、というファンが多いとか。名場面のひとつに挙がるのも納得です。ちなみに、同書にはノッポさんの相棒・ゴン太くんのふわふわキーポーチが付録としてついてきます。

 そのほか、小猿のポッケが活躍する『いってみようやってみよう』(1985~2004年)や、算数の楽しさを伝える役目を担った『いちにのさんすう』(1975~1995年)のおばけ・タップなど、さまざまなキャラクターが満載の「なつかし番組の名キャラクター集」も見どころ満載です。

 個人的に衝撃を受けたのは、動物人形劇『川の子クークー』(1981~1983年)の主人公・かっぱのクークーです。銀色の髪と、限界まで見開いた瞳、大きく裂けた口……一度見たら忘れられないビジュアルだったため、放送時は観ていませんでしたが、今さら気になっています。

 いつの時代も、テレビを見ているこどもたちの友だちだった“NHKこども番組”のキャラクターたち。ぜひ『NHKなつかしの’80sキャラクター』のページをめくり、旧友たちとの再会を果たしてみてほしい。

文=真島加代(清談社)