25年間、仕事で、家庭で「SMAPがいたからがんばれた」女性たちへ

エンタメ

2016/12/31

『進化する男子アイドル なぜ大人の女性たちはアイドルを「家族」として選んだのか?』(ヨシモトブックス)

 『進化する男子アイドル なぜ大人の女性たちはアイドルを「家族」として選んだのか?』(ヨシモトブックス)は、少子化ジャーナリストで、『「婚活」時代』(山田昌弘と共著)、『「専業主夫」になりたい男たち』などの著書がある白河桃子さんによる、「女性ファンと男子アイドル」を切り口としたSMAP本だ。数あるSMAP解散に言及した本の中で、とりわけこの本をおすすめしたいのは、CDを買ったり、ライブに行ったり、グッズを買ったりして、自分のお金を使ってSMAPを応援し、SMAPの存在にはげまされていた大人の女性ファンを考察しているからだ。

 この本では、「羊のようにおとなしい」(お行儀のよい大人のファン)といわれているSMAPファンが、解散報道をきっかけに、「解散撤回」「再結成」を願って、SNSなどで発信し、行動を呼びかける「もの言うファン」(でもお行儀はいい)となったがんばりを記録。いままでは「大人の事情」に泣き寝入りしていた受け身のファンが、「それだけはいやだ」と声を上げ、ソーシャルの時代に決起し、つながり、大きな波を起こした様子を、多くの例を上げて紹介している。

『世界に一つだけの花』のCD売上げは300万枚を突破し、解散撤回署名は37万人分集まり(2016年11月時点)、ファンイベント開催のためのクラウドファウンディングで集まった総額1200万円の資金をもとに、2000人以上が都内某所にて、混乱もなくイベントを楽しんだという。どれも、かつてないできごとだ。いかにそのムーブメントが歴史的なことだったのかを知ることができる。

 2016年、SMAPが解散したこの年に、何が起こったのか。この本はそれを閉じ込めた。「SMAPがいる世界」の最後の1年に、ファンが何を思い、何をして、どんな思いで過ごしたか。著者が、ファンとSMAPへの愛情を持って記録したことには、大きな意味がある。

 後半では、女優を続けながら妊娠することが許されなかった時代から、妊娠・出産でママタレにキャリアチェンジするタレントたち、子育てを終えて華麗に復帰するかつてのアイドルたち、熟年婚など、女性芸能人のさまざまな結婚のスタイルを通して、「時代と共に変わり続ける女性の幸せ像」にも言及。SMAPが活躍した25年間の、女性の生き方の変化を知ることができる。

 結婚していてもしていなくても、子どもがいてもいなくても、どんな立場であっても、世界的に見て、がんばり続けることを求められる日本の女性たち。この本は、SMAPをはじめとする男子アイドルを家族のように支え、彼らの活躍に支えられることで日々の活力を得てがんばっている女性への応援歌である。

最後に、「SMAPがいない世界」におびえる人に、著者のこの言葉を贈りたい。

――アイドルの定義は「未完であること」。奇跡の物語はまだまだ続いていきそうな気配です。『進化する男子アイドル』より

文=波多野公美