「いい人」を目指さなくていい! 「褒められたい」なんてなぜ思う? 心おだやかな日々を過ごす方法とは?

人間関係

2017/1/14


『気にしない練習(知的生き方文庫)』(名取芳彦<なとり・ほうげん>/三笠書房)

 あっという間に2017年が始まり、日常モードに戻った。今回の年末年始休みは特に短かったが、新年は心おだやかに迎えられただろうか。もしかしたら、毎年のように親から「結婚は?」「早く孫を!」とか言われたり、姑のちょっとしたひと言に傷ついたり…、なんて人もいるのでは?

 そんな周りを“気にしてしまう”人に読んでもらいたいのは、2014年12月に発売され、現在25万部を突破した、『気にしない練習(知的生き方文庫)』(名取芳彦<なとり・ほうげん>/三笠書房)だ。

 本書では、これまであなたが嫌な気持ちで心がいっぱいになっていたことを、仏教の教えに基づき“気にしない”という方法で、心おだやかな日々を過ごせるようになれるという。著者ならではの仏教の視点や解釈、自身が体験した具体例なども交え、わかりやすく説いてくれている。

 著者は、1958年、東京都江戸川区小岩生まれ。密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。密蔵院写仏講座・ご詠歌指導など、積極的な布教活動を行なう。主な著書に、『般若心経、心の「大そうじ」 人生をのびやかに過ごす32の方法』のほか、『実践編 般若心経 こだわらない生き方』(以上、(知的生き方文庫/三笠書房)などがある。

「“気にする”人にとって、ジメジメした世界から、晴れ晴れとした、心おだやかな毎日を作り、“気にしない”人になるための手がかり、足がかかりになれば」と思いを語る。

 さて、まずは本書より、気にすべきこと、気にすべきでないことを整理してみたい。

気にしたほうがいいこと

・自分を高め、他人を安心させること
・現状より向上する可能性があること
「こうしたほうが自分はよい方向に向かうだろう」「こうすればあの人は楽になるだろう」など。

気にしないほうがいいこと

・自分が向上できそうもないこと
・自分をみじめにするようなこと
・自分の力ではどうしようもないこと

 また、仏教の教えからもひとつご紹介したい。

“遠ざかったほうがいい悪いこと十カ条”(十善戒)

(1)むやみな殺生(2)時間を含めた盗み (3)男女のよこしまな関係 (4)嘘 (5)きれいごと (6)乱暴な言葉づかい(7)人の悪口 (8)物惜しみ (9)怒り (10)誤った見方

とにかく、「○○しなければいい」ということだ。つまり、仏教は「いい人」を目指すための教えではなく、心がおだやかになるための教えを説いている。
「いい人、悪い人という価値観から離れ、心おだやかな生き方を目指すと、陽春の中で遊んでいるような日が、ぐーんと多くなる」と著者は断言する。

 次に本書から、具体的な教えの一部をご紹介しよう。

最初に摩擦が起きるのは「いいこと」!?

 人には自分のやり方、方法、ルールのようなものがある。自身でたどりついたルールは、うまくいっている方法。これまで問題がないので、それでいいと思うし、その方法がベストで、普遍性があると過信することも。

 ところが、自分のルールが誰にでも通用する訳ではない。異なった環境で育ち、経験が異なれば、たどりつく方法もルールも、いろいろある。

 嫁姑争いも、夫婦や恋人の喧嘩も、それまでの生活ルールが異なるために起きる。自分なりのルールでうまくやってきた人が、ルールの異なる相手に、自分のルールを押しつければ摩擦が起きるのは当然のこと。

 そして、ものごとの最初に摩擦が起きるのはいいことと著者はいう。摩擦を起こさないために最初から我慢などしなくてもいい。互いが自分のルールを主張するのは、うまくいくために必要なことで、後は、ルールのすり合わせをすればいいのだ。

“自然体”の人が、結局は一番強い!?

仕事、恋愛、果ては人生そのものをしなやかに受けとめる極意は、必要以上に構えず、力まず、先入観を持たない自然体でいることだという。
来るべきものがいつ来るかと身構え、力んでいればクタクタになり、結果的に来なかったと気を緩めると、狙い澄ましたように予期しないものがやってきて、あわてることに。自分の先入観が現実と異なれば、うまく対応ができなくなってしまう。だから自然体で振る舞える人が、結局は一番強いのだ。

 自然体、つまり、どんなことにも臨機応変に対応できる人になるために、まずは気構え、力むのを解消すること。それに最も適した方法は、ほのかな明かりの部屋で、心静かにする時間を持つこと。そうすると力が入っていた心が緩み自然体に近づく。気が緩むのではなく、心が緩むのだ。

 もうひとつは、構えていても、予想通りのものが来るとは限らないことを知っておくこと。最初から気構えても仕方がないとあきらめる勇気を持とう。

「褒められたい」なんて、なぜ思う?

 人には、「愛されたい、認められたい、役に立ちたい、褒められたい」の4つの願いがあるそうだ。中でも、“褒められたい”がやっかいだという。注意が向いている・認められる・役に立つ以上に、他人からの好評価を期待しているのが“褒められたい”という欲望。言い換えれば“褒められたい”は、“愛され”“認められ”“役に立つ”の3つを満たした上の贅沢な要求だったのだ。“やったことに気づいて! 認めて! 役に立ったと褒めて!を求めると、自分でも無理をして、他の人にも無理を強いることにもなる。“褒められたい”欲はほどほどに。そのほうが、心おだやかに生きていけるそうだ。

そのほか、
■「考えたこと」でなく、「感じたこと」を言えばいい
■いちいち「意味」を深く考えない
■将来のことを“妄想”しない
■夫婦円満の秘訣は「共通体験」
■裏切りなんて“当たり前”のようにある
■人生に“勝ち負け”はない
■世の中は「正論通り」には進まない
■どんなことでも、「無理」は絶対に続かない
■「等身大の生活」が幸福のカギ
など、テーマごとに見開きで完結する構成になっている。

 本書に出会うまで、私は思っていることをうまく相手に伝えることができなかった。嫌われることを恐れていたようだ。でもこれからは、この「気にしない」を練習して、自分の気持ちを大事に、とにかく自分自身が自信を持ってできることをやっていきたい。そうすれば、2017年からは心おだやかに過ごせるはず。

文=Sachiko