ドンくさい部下もナマイキな後輩も、モヤモヤする自分自身ともサヨナラ! 人間関係のストレスを行動科学でサクサク解決しよう

人間関係

更新日:2017/1/16


『めんどくさがる相手を動かす技術』(冨山真由・石田淳/永岡書店)

 「あ~、なんでこの人こうなんだろ……!」会社でもご近所づきあいでも、はたまた夫婦の間でも、人間関係にストレスはつきもの。分かってもいても相手にイライラしてしまったり、気をつかい過ぎてモヤモヤしてしまうことはないだろうか。ひいては周囲とうまく関わることのできない自分自身にコンプレックスを持ってしまったり。

 しかしそんな悩みも、ちょっとしたコツを知ることで解決できるとしたら。その秘訣を明快に教えてくれるのが、『めんどくさがる相手を動かす技術』(冨山真由・石田淳/永岡書店)だ。本書では「行動科学マネジメント」の観点から、「ちょうど良い人間関係」を構築する技術が50件にわたって紹介される。

 行動科学マネジメントとは聞きなれない言葉だが、「アメリカのビジネス界や教育界で大きな成果をあげている行動分析学・行動心理学をもとにしたマネジメント手法を、日本人に最適な形にアレンジしたメソッド」とのこと。仕事上でのつまずきポイントと、その解決法が、ほっこりしたイラストともに紹介されているので、「職場あるある」気分でどのページからでも気軽に読み進められる。

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 たとえば、部下や後輩と、いまひとつ距離が縮まらないときにはこんな技術が役に立つ。

【技術11】何かひとつ簡単な頼み事をして手伝ってもらおう
人の役に立ち、喜んでもらう体験というのは誰にとっても嬉しいもの。周囲と良い関係を育てるためにこの「頼む・感謝する」という行動を積極的に活かそう。このとき①「相手が負担に感じない程度の作業」を、②「命令ではなく感謝の態度をもって頼む」という2点が大事なポイント。

「なんでこんなことができないんだ」と、周囲にイライラしてしまいがちなあなたにはこちらをおすすめ。

【技術18】相手がどこでつまずいているか、行動分解して境界を見つけよう
行動分解とは、一連の行動をいくつかのステップに分解すること。どんな行動でも、必ず「ここまでは出来ている」「ここからが出来ていない」という境界線があるので、作業や理解がストップしてしまっている部下に対しても、その境界線を見つけ出してあげることで具体的なアドバイスが出せるようになる。

 なお個人的に特に響いたのはこちら。

【技術50】忙しくてテンパっている相手には「何をやらなくていいか」をアドバイス

「何からやるべきか」をアドバイスすることも大切ですが、「何をやらなくていいか」を決めてあげることも重要です。なぜなら、やるべきことを決める「優先順位」より、やらないことを決める「劣後順位」のほうが自分自身での判断が難しいからです。

迷える部下としては、まさに「自分の上司にはこんな指導をして欲しかった」。自らの後輩指導には活かしたいものだ。

 その他「部下・後輩との『関わり方』お悩みQ&A」20件も必見。職場だけではなく、人間関係全般、ひいては自分自身の考えや行動の整理にも使えそうな1冊だ。

文=桜倉麻子