慢性的な睡眠不足、休日の寝だめ、寝つきが悪い…悩める現代人必見の快眠バイブル

健康・美容

2017/1/22


『美人をつくる熟睡スイッチ』(小林麻利子/ジービー)

 現代人は忙しい。

 仕事に家事、育児。こなさなければならないタスクは無数にある。同僚や上司、友人とのお付き合いもあるし、SNSのまめな返信、更新も欠かせない。

 朝は早く家を出て、残業の都合で夜遅く帰宅。だらだらとスマホをいじっていたら、もう就寝予定時刻をとっくに過ぎていた…。

 これと似たような経験をしたことのある人は、私も含めて多いのではないだろうか。適度な睡眠は健康管理の基本だが、毎日の生活の中で、意外に犠牲にされやすいものでもある。

 慢性的な睡眠不足、休日の寝だめ、寝つきが悪い(あるいは熟睡感がない)……もし今あげた症状のなかに、1つでもあてはまるものがあったら要注意。あなたの睡眠が理想とはかけ離れ始めている証拠だ。

 本書『美人をつくる熟睡スイッチ』(小林麻利子/ジービー)の著者も、かつては睡眠パターンがボロボロだった1人。慢性的な睡眠不足状態が続く中で心身のバランスを崩し、ついには倒れてしまう。幸い会社から3日間の休みをもらった彼女は、その間に自分の体調を立て直すことができた。といっても、ものすごく特別なことをしたわけではない。体内時計や自律神経を狂わせていた日頃の生活習慣を見直し、がっつり寝たのである。

 起床時刻を定めたうえで、十分な睡眠時間を確保する。就寝前はスムーズに眠れるよう、副交感神経の働きを高めるような過ごし方をする。言葉にするのは簡単だけど、実行するのは意外に難しい。

 でも彼女はそれを忠実に実行し、しかもコツコツと続けた。そして理想的な睡眠を取り続けた結果。心も身体も大変身を遂げたのだ。

 ムチムチだったのが、自然に8kg落ちて健康的なスレンダー体型に。著者は今30代だが、20代の頃よりも今の方が心身ともに調子がいい、という。確かに写真を見る限り、お肌もぴかぴかだし、まとっているオーラも明るい。まさに健康美人という表現がぴったりだ。睡眠パワーおそるべし、である。

 お肌の健康にも、ダイエットにも、もちろん心身の安定にも、睡眠がいいということはよく言われている。著者は自分の身をもって、その証明をしたことになる。

 本書によれば、私たちの身体には、生まれつき「熟睡スイッチ」なるものが備わっているらしい。これさえONになれば良質の睡眠が得られるという体内メカニズムだ。このメカニズムを正常化することこそ熟眠快眠の鍵となる。

 では具体的にどうすればいいのだろうか?

 自身の体験から「熟睡スイッチ」を発見した著者。そのアドバイスは、食事や運動、寝室環境の整備など多岐にわたるが、なかでもユニークなのが「逆算美容」や「うっとり習慣」という発想だ。

「逆算美容」とは起床時刻から逆算して、就寝や食事、入浴などの最適時刻を設定すること。乱れがちな体内時計を整える効果がある。そして、副交感神経の働きを高める「うっとり習慣」。これは就寝前に最低15分間のリラックスタイム(ただしスマホやテレビなどの刺激はNG)を設け、ゆったりと過ごすことを指す。快眠に必要な副交感神経の動きを活発にし、交感神経優位に陥りがちな自律神経のバランスを整える。

 規則正しい生活も、自律神経のメンテナンスも、毎日の健康を維持するためには欠かせないものだったはず。しかし実際にはどうだろう? 「きちんと実践できていたのか」と問われると、少なくとも私は正直自信がない。普段眠りが浅いという自覚があるだけに、著者のアドバイスはぐさりと胸に突き刺さった。

 誰だってよく眠れた日には、朝から活発に動けるし、上機嫌で過ごせるもの。化粧ノリもよく、頭の回転だって冴え渡る。

 また、日々のストレス対策としても睡眠は重要だ。良質な睡眠は心身の疲労を癒し、ストレスに強い身体を作る。本書のいう、熟睡スイッチをONにする生活は、ストレスの多い現代社会を生き抜くために必須の知恵といえるかもしれない。

 さらに睡眠の乱れは、体内時計や自律神経の乱れの証拠でもある。自律神経失調症やうつといった自律神経の乱れを伴う病気に悩む人も、本書から得られるものは多いだろう。

 こんなにも大切なのに、うっかりおろそかにしがちな睡眠。ストレス、美容、仕事のパフォーマンス……悩めるすべての現代人に、本書の一読をおすすめしたい。

文=遠野莉子