アイドルなのに主戦場はバラエティ…“国民的アイドル”SMAPが開拓した、ジャニーズとしての新しい道とは?

芸能

2017/1/20

 発表はひっくり返ることなく解散となったSMAP。ファン投票で曲目を決めるベストアルバムの発売や、紅白歌合戦の出場辞退のニュース、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の最終回など、2016年はSMAPの最後の動向に注目してきた人も多いのではないだろうか。SMAPは、なぜこれほどまで世間の関心を集める「国民的アイドル」となったのか? デビュー当時は、ジャニーズにおいて「異端」と呼ばれていたにもかかわらず、最後はジャニーズを代表するまでの人気グループに成長を遂げたSMAPの軌跡を改めて『ジャニーズと日本(講談社現代新書)』(矢野利裕/講談社)でおさらいしていこう。

バラエティ番組で躍進したSMAP

 長らく「国民的アイドル」と呼ばれたSMAPだが、デビュー当時を振り返ってみると、そのスタートは決して順風満帆なものではなかった。

 デビューシングルは1位を獲って当たり前というジャニーズグループにおいて、1991年発売のSMAPのデビューシングル「Can’t Stop!!-LOVING-」はオリコンチャート2位。華々しいデビューが約束されたジャニーズとは思えない門出だった。

 さらに、デビュー後も、SMAPの人気は伸び悩んだ。事務所の先輩である光GENJIや少年隊が、ジャニーズアイドルの真骨頂と言えるような華やかなステージパフォーマンスで活躍する一方、「アイドルなのに歌も踊りもニガテ」というSMAPには、注目が集まらなかったのだ。こうしてSMAPは、ジャニーズの中で「異端」なグループとしての烙印を押されることとなる。

 そんななか、SMAPが活路を見出したのが“バラエティ”への進出だった。1992年放送開始の『夢がMORI MORI』(フジテレビ系)のレギュラー出演を足がかりに、SMAPはバラエティ番組に続々と進出。90年代のお笑いブームとの相乗効果もあり、バラエティ番組を通じて、SMAPに注目が集まり始める。その経緯を次のように述べられている。

SMAPは、自分たちがアイドルであるということに言い訳せず、体を張って笑われることを恐れなかった。積極的に笑われる存在になることによって、SMAPはそれまでのアイドルとは一線を画すアイドル像を作り上げた

 とくに、1996年から2016年12月26日まで続いたSMAPの代表的番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で見せる本格的なコントは、お笑い芸人顔負けのクオリティで視聴者を笑わせた。SMAPはメンバー全員で「笑い」という新境地を開拓していくことで、アイドルとしての人気を高めていったのだ。

 

 もちろん、SMAPの魅力はそれだけではない。人気を確立させていくと同時に、ジャニーズのアイドルとしての実力も磨いてきた彼らの持ち味について、本書では次のように分析している。

『SMAP×SMAP』は、前半にコントやビストロSMAPなどメンバーの素顔が垣間見えるヴァラエティ企画、後半がゲストを招いた音楽ショーという構成になっている。自分と同じ目線の親しみやすいアイドルかと思えば次の瞬間みたことのないスターになること。ごく身近でありつつもスター性がある。スター性があるのにごく身近な存在。この不思議な両義性。SMAPの唯一無二の存在感は、そのような両義性にある

 こうして、高いオリジナリティとエンターテインメント性を身につけたSMAPは、楽曲面でも1998年の「夜空ノムコウ」や、2000年の「らいおんハート」などに代表される数々のミリオンヒットを飛ばし、名実ともに「国民的アイドル」へと成長を遂げたのだ。

 ジャニーズの先輩たちがそれまで示してきた、ジャニーズアイドルの王道スタイルと決別し、「ジャニーズらしさ」をあえて消すことで築きあげた、SMAP独自のスタイル。そんな彼らの魅力について、このようにまとめられている。

 アイドルなのに気取らない、等身大のSMAPの姿は、

アイドルを手の届かないスターではなく、親しみやすい、いやそれ以上に、笑ってもいいという身近な存在にしたということだ。SMAPの魅力とは、わざとらしいスター性ではなく、カジュアルな身近さにあった

 これこそが、世代や性別の垣根を越えて多くのファンに支持されるSMAPの魅力だったのだ。

SMAPがジャニーズの後輩に示した道

 こうしてSMAPが切り開いた道は、ジャニーズの後輩たちに受け継がれているようだ。たとえば、後続の「国民的アイドル」として目される嵐とSMAPとの符合について、本書ではこのように述べられている。

俳優として女性人気を得た木村拓哉に呼応する松本潤、司会の上手さに定評がある中居正広と櫻井翔、個性ある俳優として評価の高い草なぎ剛と二宮和也、アーティスティックな稲垣吾郎と大野智、カジュアルな雰囲気で子供からの人気も高い香取慎吾に対して相葉雅紀。嵐のバランスのよいキャラクターは、SMAPの構成と対応していると感じさせる。もちろん、いま述べたポジショニングに対しては、ファンからすれば異論があるところかもしれないが、ひとりひとりの個性を活かし、それぞれに輝く場所をすみ分けているという芸能界のありかたは、SMAPが導いたものだ

 ファンにとってだけではなく、ジャニーズというひとつの文化にとっても、SMAPの存在は大きいものだった。

 SMAP5人が揃った姿を見られなくなるのは寂しいが、彼らはこれからも、個々での活躍を見せてくれるのではないだろうか。その時こそ、自由でクールな「SMAPらしい」姿を期待したい。

文=林江利子(清談社)