お金が貯まる人から学ぶ手土産の選び方と贈り方

マネー

公開日:2017/1/26


 「お金のこと」は人生で大切であるにも関わらず、あまり話すこともなく、また小さいころから習う機会がなかった人が多いのではないでしょうか。私の新著「美しく生きる女のお金の作法」から、お金の作法が身に付き日々が美しく変わる習慣をご紹介します。

 

自分らしい想いを込めた手土産を

 久しぶりに会う友人や、大切な取引先との面会の場で、気の利いた手土産をさりげなく渡せる女性、素敵ですよね。私自身はまめに贈り物を用意できるタイプではありませんが、ここぞという時には相手が喜ぶ顔を想像しながら、自分なりに考えて小さなプレゼントを用意するようにしています。

 最近、贈ったものでは「みかん」があります。不思議に思われるかもしれませんが、きちんと選んだ理由があるのです。その日に尋ねた友人の家には受験を控えたお子さんがいました。初めての受験でかなり夜遅くまで勉強をがんばっているということも聞いていました。そこで、「ビタミンをたっぷりとって風邪を引かないように」という気持ちを込めて、おいしいと評判のみかんを取り寄せて渡したのです。旬にしかいただけない、栄養たっぷりのオレンジ色に輝く大粒のみかん。友人はとても喜んでくれました。

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 また私個人の経験でもあるのですが、ダイエットにがんばっている時期にとてもおいしそうなスイーツ(しかも大容量)をいただいたことがあり、お気持ちはとてもうれしいながらもダイエット中の身としては非常に複雑な思いをしたことがあります。その経験からも、ダイエット中と公言している知人への手土産は気をつけることにしています。ほかにも、ひとり暮らしの知人に、賞味期限が短い生ものは避けるなど、やはり相手の身になって手土産を贈るということが一番大事だと考えています。

 また、手土産ではありませんが、「参加予定だったパーティに急用でいけなくなったお詫び」として、ボックスに入ったフラワーアレンジメントが届いたというエピソードを知人から聞いたこともあります。とてもセンスのいい彩りだったそうです。「パーティをドタキャンしてしまった」というマイナスの出来事を、センスのいい贈り物でプラスの印象に変えてしまうという上級技ですね。

 

手土産を通して何を贈るか

 今は何でもネットですぐに手に入る時代です。本当に欲しいものは、誰かから贈られなくたって自分で手に入れられます。では、「手土産で贈っているもの」は何なのでしょうか?

 私は手土産で贈るのはそのモノ自体というより、「あなたのことを考えています」という「想い」ではないかと思うのです。「とりあえず無難なものを」とありきたりのものを見繕って渡すのであれば贈らない方がまし。なぜあなたにこれを贈るのか、できれば選んだ理由を簡単にしたためた手書きのメッセージも添えるといいですね。相手の今の状況を想像して、「どんなものが好きだったかな。何なら喜びそうかな」と考えて吟味する。その想いは必ず贈った相手に伝わりますし、思いが伝われば、ますます関係性が深まります。

 手土産は「誰に対しても、ありきたりのものを」ではなく、「大切にしたい人に、その人ならではのものを」にこだわって選ぶ。そんな美意識を磨いていきたいものです。そのためには、相手を日ごろからよく観察し、想像する力が問われます。ありがちなのが「私はこれが好きだから」と、自分の好みを押し付けてしまうパターン。相手を大切にしているというメッセージとしては十分に伝わらないかもしれません。

 一つの行動に関して、自分の立場からだけではなく、相手の気持ちにも立って考えてみる。そんな意識を持ち続けると、お金のセンスを高める上で大切な”両面思考”を身につけることにもつながっていきます。

 

手土産で両面思考を磨く

 両面思考とは、たとえば、お店の店員さんがあなたに何かをすすめてきた時に、「なぜこの人はこれを売りたいと思っているのかな?」と想像してみる。あるいは、上司が何かをごちそうしてくれた時に「どんな想いがあってごちそうしてくれたのかな」と想像してみる。そんな思考が身に着くと、賢く買い物ができるようになりますし、相手から受け取った想いにしっかりと報いることができるようになる。その結果、お金もスムーズに動いてくれるようになるのです。

 手土産から始める両面思考磨き、ぜひ初めてみてください。

文=citrus ファイナンシャルプランナー 大竹 のり子