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一度読み出したら止められない! 映画公開も控えるスティーヴン・キングの最高傑作『ダークタワー』待望の復活!


『ダークタワーⅠ ガンスリンガー』(風間賢二訳/KADOKAWA)

 あのダークファンタジーの傑作「ダークタワー」がリニューアルして帰ってくる! そんなニュースが昨年後半あたりから、ネット上を駆けめぐっていたのをご存じだろうか。

「ダークタワー」とはアメリカの作家スティーヴン・キングが30年以上の長きにわたって書き継いできたダークファンタジー。世界のどこかに存在する〈暗黒の塔〉を求め、果てしない旅を続ける男・ローランドの波瀾万丈の冒険を、全7部(+別巻)という大ボリュームで描いた大河小説である。
 内容的にもファンタジー、ホラー、SF、ミステリー、ウエスタン、ラブロマンスと、エンタメ小説のあらゆる要素が贅沢に盛りこまれ、他のキング作品とリンクする部分が見られるなど、まさしく〈モダンホラーの帝王〉の集大成にして最高傑作と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっているのだ。

 作者のキングについては、ここで詳しく説明するまでもないだろう。長編デビュー作『キャリー』を皮切りに、『呪われた町』『IT』『スタンド』など数々のベストセラーを連発。『スタンド・バイ・ミー』『ミザリー』『ショーシャンクの空に』『ミスト』と、今日まで映画化・ドラマ化された作品は数知れず。最近でもケネディ暗殺を食い止めようとタイムスリップをくり返す青年を描いた『11/22/63』が、日本でも大きな話題となるなど、世界中に熱烈なファンをもつベストセラー作家だ。

 そんなキングが1982年に刊行した作品、『ダークタワーⅠ ガンスリンガー』(風間賢二訳/KADOKAWA)が1月25日に発売された(電子版も同日配信)。
〈暗黒の塔〉にいたる手がかりを求め、最後のガンスリンガー(=拳銃使い)のローランドが出会いと別れをくり返しながら、宿敵・黒衣の男を追いかけるロード・ノベルで、5つの中・短編からなっている。

 旅の途中で立ち寄った奇妙な町での事件を描いた「ガンスリンガー」、孤独に暮らす少年ジェイクと出会う「中間駅」、ジェイクとともに苦難に満ちた旅路を進んでゆく「山中の神殿」、ガンスリンガーの修行時代が明かされる「スロー・ミュータント」、そしてついにローランドが宿敵と対面を果たすことになる「ガンスリンガーと黒衣の男」。
 いずれも力強いイマジネーションがみなぎる力作だが、特に注目すべきは2作目「中間駅」だ。少年ジェイクとの交流を描いたこのエピソードでは、ローランドの暮らす〈中間世界〉と、我々読者が生きるリアルの世界とが、意外な形でつながってゆくのだ! 異変に見舞われ、文明が荒廃しきった〈中間世界〉。その秘密はシリーズが進むにつれ、少しずつ明かされてゆくことになる。

 本書『ダークタワーⅠ ガンスリンガー』はいわば長大な物語のプロローグだ。そのためキングならではの饒舌な語り口やストーリーテリングの才能は若干抑えめな印象だが、同日に発売された、続く第2巻『ダークタワーⅡ 運命の三人』では、物語がいよいよ本格始動!(こちらも電子版が同日配信) ページを開いたら止められない、めくるめく読書体験が待ち受けている。展開的にも『Ⅰ』と『Ⅱ』は密接につながっているので、同時購入しておくことをお勧めしたい。

 なお、今回装いも新たにリリースされる角川文庫版は、従来の邦訳版には収録されていなかったシリーズ別巻『鍵穴を吹き抜ける風』が収められるという。これは『Ⅳ』と『Ⅴ』の間に位置するエピソードで、これまで日本未紹介だったもの。訳者・風間賢二による詳細な「訳者あとがき」や、山田章博による描きおろしカバーイラストとともに、今回のリニューアル版の大きな特徴といえるだろう。

 さらに嬉しいことに「ダークタワー」は映画化が決定。ローランドを演じるのは英国人俳優イドリス・エルバ。すでに南アフリカで撮影が行われており、日本では今年の9月に全国ロードショー公開される予定だ。映画版はどうやら原作シリーズ後半を中心に、独自のアレンジを加えた物語になるようなので、順次刊行される原作を読みながら、気分を高めてゆくのも一興だろう。
 2017年は活字と映画の両ジャンルで、「ダークタワー」旋風が吹き荒れそうな予感。まだ読んだことがない、という幸福な人はぜひともこの機会に触れてみてほしい。

文=朝宮運河



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