自分で選んだ道を自分で「正解」にする方法とは? 横浜DeNAベイスターズを黒字化した前社長の “しがみつかない生き方” 4つのヒント

ビジネス

公開日:2017/1/27


 35歳で史上最年少の球団社長に就任。当時25億近い赤字を出していた横浜DeNAベイスターズを5年で黒字化した途端に球団を去った池田純さん。“企業再生のプロ”として確固たる地位を築き上げた彼はいったいどんな経験を積み、仕事や人間関係で何を重んじ、どのような信念を貫いてきたのか?

 ベイスターズ社長をはじめとした彼のビジネス経験と仕事論をまとめた著書『しがみつかない理由』(ポプラ社)は、キャリアデザインを考えている20~30代の働き方と生き方のヒントが詰まっている。本書からそのエッセンスをいくつか紹介しよう。

(1)夢や目標から逆算して必要な経験を積んでいく

池田さんは大学時代にサーフィンにのめり込んだが、「社長になりたい」という夢を叶えるため経済や経営に関する講義はしっかりと履修。ビジネスで困らない程度の英語も、あえてネイティブしかいない場所へ留学してマスターした。就職先の仕事がやりたいこととかけ離れていたら潔く退社。転職先の博報堂ではマーケティング、ブランディング、広告、営業の基本を叩き込み、自分に“足りない”知識やスキルを徹底的に身につけた。博報堂時代に出会った「師匠」の影響で、日々のニュースはもちろんビジネスの名著から話題の新刊まで読破し世の中を理解する努力を惜しまなかった。体力がある若いうちに貪欲に得た知識や経験はプロとして生きるための盤石な基盤になるのだ。

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(2)本物と本質に徹底的にこだわる

ビジネスのプロは「本物だけがお客さんを惹きつける」ことを知っている。お客に本物を提供するにはまず自分が本物を知ること。たとえば池田氏はベイスターズファンに本物の音楽を聴いてもらうため常日頃からありとあらゆる音楽を聴きまくり、自分が好きなアーティストのライブがあれば海外でも足を運ぶ。「これさえやっておけば大丈夫」「これくらいで客は十分満足するだろう」という考えに陥ったら負けだ。たとえ自分が若くても「クオリティ」を追求する“プロ意識”で仕事に向きあうことこそ大切なのである。

(3)成功や失敗に執着せずすべて「経験」ととらえ「個」としての自分を磨く

いいことも悪いことも、そのことに執着しはじめた途端、心のなかに闇を抱えてしまったり、大樹に寄りかかったりしがみついたりして誤った判断をしがちだ。ほとんどの不安や悩みは「気のせい」だと割り切る強さや、どんな成功も失敗もすべて「経験」ととらえる人が成長できる。大企業も先行き不透明な今、組織から切り離した自分を「個」として客観的に分析して磨きをかけるつもりで仕事に向きあうべし。

(4)自分にしかできない仕事、情熱を捧げられる仕事を見つける

「人は慣れれば楽になる。楽になれば心地がいい。心地がよくなると成長が鈍化する。楽なことと楽しいこととは違う。楽なことは飽きる。本当に楽しいことは困難に挑戦することだ」。これは仕事で常にチャレンジを続け情熱を傾けてきた池田さんの根底にある考え方。人間として成長して成功したいなら楽なほうより難しいほうへ、そして自分にしかできない仕事や情熱を捧げられる仕事を選んだほうがいい。

「若い時の苦労は買ってでもせよ」というが、苦労をきっちり成功に変えて「自分で選んだ道を自分で『正解』にする生き方」を実践してきた池田さんの言葉は、読んだ人の人生観を変える力を持っている。

文=樺山美夏