世界初!おいしいの「断面」がまる見え!カップ麺、牛丼、ナポリタン、カレー…みんなが大好きな食べものに隠れたうまいのヒミツ!

食・料理

公開日:2017/2/3

『ヒミツがまる見え!「おいしい!」の断面』(TDK食べもの断面協会/サンクチュアリ出版)

 たまに無性に食べたくなるカップ麺や、お弁当に欠かせないおにぎり、喫茶店で食べるナポリタンなど、普段なにげなく口に入れているお馴染みの食べ物たち。一度、口に入れたら、夢中で食べきってしまう数々の定番メニューを真っ二つに切り、その断面から美味しさのヒミツに奥深くせまったのが『ヒミツがまる見え!「おいしい!」の断面』(TDK食べもの断面協会/サンクチュアリ出版)だ。

 著者は、アートディレクターの石倉ヒロユキ氏が主宰するTDK(食べもの断面協会)。食の楽しみをさまざまな角度から切り、「表面と内面」を考察し、断面の可視化解説を生業にする団体だそう。その徹底ぶりは、ビジュアルにも表れている。真っ二つにしているのは食材だけでなく、牛丼は丼ぶりごと、ハンバーグだったら鉄板ごとで、石焼きいもなら鍋まで真っ二つ。すべてが実写という鮮烈なビジュアルとともに、「へー、そうなんだ!」と知ってるようで知らなかった情報が満載なのである。

 例えば、カップ麺。お湯を入れる前、容器の下部には空洞があるのだが、そのおかげで麺は上からだけでなく下からも加熱されて、ムラなく戻すことができるのだそう。お湯を入れる前、入れてから1分後、3分後。順を追ったそれぞれの画像と解説で、食べごろになっていく経過がわかり、なぜ3分待ってから食べるのか納得できる。食べる瞬間のお湯の温度まで計算しつくされた3分だと知ると、開発者に敬意を払わずにはいられなくなる。他にも、おでんやカレーライス、唐揚げ、クロワッサンからぬか床、さば缶まで、多種多様な食べ物の断面とそれにまつわるストーリーを知ることができる。

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 また、本書には、忠実に料理の味を再現するレシピやウンチクも豊富。「喫茶店のナポリタン」は、「なるべく太めの麺を使って芯がなくなるまでしっかり茹で、ざるに上げて冷水でしめる」ことが、あのモチモチの食感になるコツだという。チャーハンは、「中華料理店のチャーハン」と「おうち焼き飯」両方の作り方の徹底比較が裏ワザとともに紹介されていて、作ってみたくなる。ホットケーキにおいては、ふわふわ分厚く焼くための秘訣とともに、その驚愕のカロリーも明らかに。「どうしても知りたくない人は、今すぐ別のページに避難してください!」と読者を気遣うコメントも楽しめる。

 見て、読んで、身近な食べ物の新たな魅力を再発見できる本書。次に食べる時には、いつもよりもっと美味しく、もっと味わって食べることができるに違いない。

文=三井結木