角田光代の直木賞受賞作『対岸の彼女』のスピンオフ――誰もが知りたかったナナコのその後――心中事件のあと、彼女はどこに流れ着いたのか。

文芸・カルチャー

2017/2/6


『対岸の彼女(文春文庫)』(角田光代/文藝春秋)

圧倒的な筆力で幅広い年代の読者から共感と支持を得ている作家・角田光代さん。彼女の直木賞受賞作『対岸の彼女』のスピンオフ作品「私の灯台」(全5話)が無料公開される。

JTが運営するWEBサイト「ちょっと一服ひろば」での公開となるが、第1話だけは雑誌『ダ・ヴィンチ』2月号と「ダ・ヴィンチニュース」の特設ページでも公開される。

本編『対岸の彼女』には、メインキャラクターとして3人の女性が登場する。専業主婦だったが、娘のためにも苦手な人付き合いを克服しようと仕事を始める小夜子、その彼女の就職先である旅行会社の独身女社長の葵、そして葵の高校時代を描いた章に登場する同級生であり、親友のナナコ。

スピンオフ「私の灯台」には、ナナコと思しき女性“ナナさん”が登場。時代設定は、『対岸の彼女』の19年後だ。リゾート地のある島でゲストハウスを経営する“ナナさん”のもとを訪れたのは、小夜子の一人娘のあかり(22歳)だ。ライトハウスというその宿のオーナーが日本人であることを知り、宿をここに決めた。

引っ込み思案で何事にも踏み込めない自分の性格を変えるきっかけにしたい、そう思って旅に出た彼女にとって、日本から遠く離れたこの地で、たったひとりでこの宿を経営している“ナナさん”に興味が湧くのは必然だった。

お気に入りの場所(「一服ひろば」とあかりが名付けた庭のテーブル席)で海を見ている“ナナさん”の様子がいつもと違って近寄りがたく、“たましいが抜け落ちたみたい”と、あかりが感じるところから物語は始まる。

本編のナナコは、貧しい家庭に育ち、学校でもいじめられていた。夏休みに葵と一緒にペンションでアルバイトをした彼女は、そのあまりの楽しさから過酷な日常に戻ることを拒否。バイトが終わっても二人は家に帰らず、旅を続けた。その旅の限界を迎えたときにおきたのが心中事件だった。その後二人は会うことを禁じられて――。

スピンオフ「私の灯台」では、あかりはどんな経験をして何を思うのか、そして“ナナさん”はあかりに何を語るのか。

 

⇒「私の灯台(第1話)」(ダ・ヴィンチニュース)
⇒JT「ちょっと一服ひろば」