「クソゲー」とは愛情表現の一種!? ファミコン時代に生み出された「クソゲー」の数々を回顧する

マンガ・アニメ

2017/2/7

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    『ファミコンクソゲー番付』(マイウェイ出版)

 2016年11月10日に発売された『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』という商品が爆売れし、品薄が続いている状態なのは記憶に新しい。これはどのような商品なのかというと、1983年7月に発売された『ファミリーコンピュータ(以後「ファミコン」)』という家庭用ゲーム機を、当時の約60%に小型化したものだ。当時のカセットは使えないが、厳選された30本のゲームが収録されている。

 収録タイトルには『スーパーマリオブラザーズ』や『星のカービィ』といった、今でも続編が作られている人気作が勢ぞろい。しかし、である。ファミコンのソフトは1200タイトル以上発売されているといわれ、30本などほんの3%弱に過ぎない。そして量産されたタイトルの中には「クソゲー」と呼称される作品も多く含まれている。

「クソゲー」とは一般的に「つまらないゲーム」を指す場合に用いられ、タレントでイラストレーターのみうらじゅん氏が最初に使用したといわれる。「つまらない」という感覚は多分に主観なのだが、多くの主観が一点に集中すると、それは「真実」に近づく。そして『ファミコンクソゲー番付』(マイウェイ出版)では、大勢のプレイヤーが「クソゲー」と断じたファミコンタイトルを、相撲の番付風にランク付けして紹介している。

 まず「東の横綱」に挙げられているのが、1986年にタイトーから発売された『たけしの挑戦状』だ。ゲームが好きでプレイしてきた人なら、一度は耳にしたことがあるかもしれない。それほど皆から「クソゲー」の代表格として語られた作品だ。自由度が高い割にヒントが皆無だったり、理不尽なトラップが数多くあったりと、本書曰く「『こんなゲームがあったらイヤだ』というポイントをすべて押さえている」というのがその理由なのだろう。

 またタイトルからしてクソゲー臭漂う『舛添要一 朝までファミコン』や、一度でもミスをしたら最初からやり直しの『頭脳戦艦ガル』。さらには発売から13年間、誰もクリアできなかったという『エルナークの財宝』など、ランキングにはいずれ劣らぬツワモノたちが顔を揃えている。

 本書では「クソゲー番付」のほか、「タレントダメゲー番付」や「ファミコン最弱主人公番付」なども掲載。個人的には「最弱主人公番付」に登場する『カラテカ』というタイトルをプレイした記憶がある。開始早々、後ろに下がったら崖から落ちてゲームオーバーという鬼畜仕様だ。他にも礼をしないと敵とマトモに闘えない上、礼をしている最中に攻撃を受けて死んだこともあったような……。こういった難易度がやたらと高い設定のゲームも「クソゲー」認定されることが多い。

 ただ「クソゲー」と呼ばれる作品の中には、割と評価の高いタイトルもある。例えば前述のみうらじゅん氏が「クソゲー」として挙げた『いっき』という作品は、100万本近くのセールスを記録した人気作だ。設定にツッコミどころが多かったゆえの悲劇なのだが、ゲームとしては遊べる作りだった。ファミコン芸人のフジタ氏も「当時親しんだ人が、愛を込めておもしろおかしく表現している」とコメントしている。本当の意味で「クソゲー」なタイトルもあれば、楽しく遊んだ人が「こんなヘンなゲームもあったよな」と「クソゲー」呼ばわりすることもあるワケだ。

 難易度だったり設定だったり、人によって「クソゲー」を判定する基準はさまざまである。現在、ソーシャルゲームで人気の「リズムゲー」は音楽に合わせて画面をタップするゲームだが、これを難しいと感じる人には「クソゲー」と断じられることもあるだろう。ただひとついえることは、遊んだ者でなければ「クソゲー」かどうかを論ずることはできないということだ。だからこそ当時、必死になって遊んだゲームを振り返って「クソゲー」と評するとき、愛にも似た感情が混在するのではなかろうか。

文=木谷誠