あの『ファイト・クラブ』のルールもネタに! ボンクラ映画コメディ漫画『木根さんの1人でキネマ』が進化中!

マンガ

公開日:2017/2/7


『木根さんの1人でキネマ』(アサイ/白泉社)

 映画が好きすぎてこじらせてしまった30ン歳の独身OL・木根さんが主人公の『木根さんの1人でキネマ』(アサイ/白泉社)。しかも好きな映画のジャンルはオシャレなミニシアター系……ではなく、『ターミネーター』やゾンビ映画、ホラー映画といったボンクラ系。しかも木根さん、ジブリ映画は見たこともない!

 女性には相当ファンが少ないジャンルなので、偏った趣味を持つ人が抱える孤独、寂しさ、だからこその楽しさ……といったものが存分に描かれており、映画好きが感じる“あるある”も満載。そして1月27日には最新の第3巻が発売になったが、その面白さはさらに進化していた。

 3巻の話の特徴は、紹介されている映画のストーリーや、そのジャンルの特徴が、そのままマンガのストーリーや描写に生かされていること。たとえば“ホーム・インベージョンムービー”(家で住民が襲撃者たちに襲われる映画のジャンル)についての回。

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 深夜、木根さんが自宅で寝ていると、マンションの何軒か隣の家に「ピンポーン」というチャイム音が鳴る。そしてチャイム音がまた鳴り、どうやら一軒一軒、自分の家に近づいてきているようだ……。

 一緒に家で寝ていた友達に「アンタ、ホーム・インベージョンムービー見たことないの!?」と言いながら恐怖を訴える木根さん。だが木根さんと友達は「警告を軽んじる」「防犯意識がない(玄関の鍵を閉め忘れている)」「仲間と離れて単独行動に出る」といった、いかにもホラー映画で死ぬヤツみたいな行動を繰り返してしまい、実際ものすごーく怖い展開になっていくのだ。

 そのほか『ファイト・クラブ』についての回もみるみる『ファイト・クラブ』っぽい展開になっていくし、あの「ファイト・クラブ ルールその1……」をもじったネタも。『新世紀エヴァンゲリオン』の回では、ことあるごとに登場人物が「おめでとう」と言いながら拍手をしてくる死ぬほどウザい話になっていく。

 ちなみに『新世紀エヴァンゲリオン』の回では、アニメ版の全26話を明け方までかけてイッキ見してしまう……という、多くの人が経験したであろう“あるある”が描かれているのも嬉しい。筆者も昨年、『シン・ゴジラ』を見た後やってしまい、このマンガの木根さんたちと同じ怒りを覚えました。

『木根さんの1人でキネマ』3巻も期待を裏切らない面白さが満載。ぜひ手にとって頷いてみてほしい。

文=古澤誠一郎

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