「いいね!」をもらうだけで満足してない? 「夢って叶ったことがない」「夢って何?」なんていう人の必読書!!

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公開日:2017/2/13


『夢の叶え方を知っていますか?』(森博嗣/朝日新聞出版)

 子どもの頃からいろいろと夢を描いてきたにもかかわらず、「叶った!」という実感がない……。そんな方に一読をオススメしたいのが『夢の叶え方を知っていますか?』(森博嗣/朝日新聞出版)だ。

 著者の森博嗣氏は、元大学助教授にして作家である。工学博士だけに、仕事術や人生設計、そして夢の実現に向けても、合理的な発想による計画的なアプローチを実践中。そんな著者が、本来、夢とはどういうものかを考察した「夢の本質」や、自身の体験に基づいた「夢を叶えるプロセス、アドバイス」などを明かしてくれるのが本書だ。

 著者が「ほぼ完成に近づいた」と記す夢物語はこんな内容だ。

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 大学勤務をしていた30代の頃、ふと「子どもの頃からの夢の実現」を思いつく。それは、自宅の庭に大人も乗れるくらいのミニチュア鉄道を敷設して運転すること。ただ、その実現に向けてはかなりの資金がいる。そこで小説なら書けそうだと、1週間で処女作『すべてがFになる』を書き上げて作家デビュー。その後、作家年収が億単位になったことから、現在は大学職も辞め、作家業もほぼ引退して、現在は引っ越して得た広い自宅スペースで、夢の完成に向けて「人生でいちばん楽しい日々を過ごしている」という。

 では、著者が本書で考察する「夢の本質」の中から、3つの重要なポイントを紹介しよう。

 

1)飽きることなく熱中できる、楽しいこと

 夢は楽しむためのもの。そして、楽しむうちにさらに、新しい発見があり、そこから新しい夢が生まれる。そんな、創造性に満ち溢れた世界こそが、夢の世界だと著者は記す。ちなみに著者にとっては、助教授も作家も夢ではなく、対価を得るためのビジネスだそうだ。執筆活動は飽きるし、助教授は辞めたことが、まさに夢ではない証拠だという。

 

2)他者の願望や他者に見せたいものではなく「自分自身の夢」である

 夢は自分の発想から生まれる、自分本位のもの。決して他者が与えたりするものでもないし、他者に喜んでもらうためのものではない。SNS全盛の最近では、夢を公表して、多くの「いいね!」をもらうだけで満足してしまう人もいるようだ。

 

3)他者を巻き込まず、実現に向けて自分で自由に行動できること

 夢は自分本位で自己満足なものである以上、他者を巻き込まずに実現できるものが本来の夢ではないか、と著者は記す。そして著者にとって夢の実現とは、「自由(=思った通りに行動すること)を獲得する行為」でもあるそうだ。

 本書では他にも、様々な夢の実現に向けた行動計画や、夢を持って叶えることの意義、さらには、作家になるための行動術や、日々の仕事術にも応用できるアドバイスまでが記されている。また、インターネットで募集した70ほどの夢に対する著者のコメントなどもある。その中に自分の夢と同じようなものがないかチェックしてみるのも面白いだろう。

 さらに、著者のような「趣味の夢」を持つ人もいれば、「職業的な夢」や「ライフスタイル的な夢」、家族の健康など「他者を思う夢」もある。本書では、いろんなタイプの夢が考察されているので、自分の夢を振り返る際のヒントになる言葉にも出会えるはずだ。

 どんなタイプの夢にせよ、その実現に欠かせない共通した方法論がある。それを端的に言い表した著者の言葉を最後に記しておこう。

今日、あなたは夢のために、何をしたか? 明日は何をするのか? いつもそれを自分に問うことが、少なくとも僕が言える一番の「夢実現の方法論」である。

文=町田光