ねじは上手く回せない、アルミホイルもラップも切りにくい…! “小さな仕打ち”だらけの「左利きあるある 右利きないない」【2/10は左利きの日】

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更新日:2017/2/10


『左利きあるある 右利きないない』(左来人:著、小山 健:イラスト/ポプラ社)

 突然だが、私の利き腕の話をしたい。私は自分の利き腕がわからない。物書きは左。箸は左。運転は左。「立派な左利きじゃないか」と思われるかもしれない。しかし、運動は右。包丁は右。はさみは右。非常にややこしいことになっているのだ。このため、幼稚園の先生に「お箸を使う方が右よ」「いのうえくん、まだ左右がわからないの? だからボールを蹴る方が右だって」と聞いて、非常に混乱し、小学校に上がっても右左の判別ができなかった悲しい過去がある。左利きにとってこの世は少々生きづらい世界であることは間違いない。

 『左利きあるある 右利きないない』(左来人:著、小山 健:イラスト/ポプラ社)では、そんな左利きが心から共感できる「左利きあるある」が記されていた。

左利きの日常

□ 初対面の人に、「左利きなの?」と聞かれる。いや、聞かれすぎる。

□ その後に続くこと。「すごーい!」「カッコイイ!」。

 わかる…。わかりすぎる…。これぞ「左利きあるある」だ。何一つすごくもカッコよくもないのに、なぜ右利きはそんなことを聞くのだろうか。とりあえずこちらも「はい~そうなんですよ~」と返すが、向こうはノリで言っているだけなので、この後の会話の方向性が定まっておらず、どちらも言葉をなくす現象までが「左利きあるある」だ。右利きの人々に言いたい。このやりとりの後に会話が続いたためしがない! 何を聞きたいのか!? 左利きをつっこんでどうしたいのか!? わからない…。私たちはたまたま左腕を使っているだけなのだ…もうほっといてくれ…。

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□ 腕時計を右手首につけている人を見ると「あ、左利き」と思う。

 まさしくその通り。右手首に腕時計をつけている人のうち、80%は左利きだろう。残りの20%は「左利きと思わせたい右利き」と勝手に思っている。

□ 授業でノートを取ると、常に左手が汚れて真っ黒。

 これもあるあるだ。そろそろ「トンボ鉛筆」あたりが「左利きに優しい鉛筆」を発売してくれると期待している。いや、もうすでにあるかもしれない。

□ 腕相撲は残念なくらい弱い。なぜなら左利きの人は右手で勝負させられるから。

 とても悲しい現実だ。力はあるのに、実力を出させてもらえない。とても残念な現実だ。

□ 小学校入学のタイミングで、右利きに矯正されそうになる。

 世の先生方、親御さん方、左利きはアイデンティティだ! 私たちは左腕を使いたいんだ! たとえその後の人生がちょっぴり苦しくても、腕相撲で負け続けても、左腕がいいんだ! 右腕に矯正は、困った顔で強制は、しないでくれ! 左利きでいたいんだ! 左腕が…好きなんだ…。

左利きって素晴らしい

 もう一度言うが、左利きにとってこの世は少々生きづらい世界だ。ねじは上手く回せないし、はさみは右利き対応がデフォルトなので、左手では切りにくい。アルミホイルやラップだって切りにくい。手帳タイプのスマホカバーは、たいてい右利き用で使いづらい。自転車に乗って、降りたらスタンドが逆にある。小さい仕打ちの連続だ。

 しかし左利きだって案外悪くない瞬間がある。左利きの同志に遭遇すると、奇妙な親近感がわくし、今までの人生の苦労を分かち合える。左手にシャープペンシル、右手に消しゴムを持てば、効率よく作業ができる。黙っていても「左利きって頭良さそう」「センス良さそう」って言われるし、スポーツでは有利なことが多い。授業中、隣の席にいる恋人と、机の下でこっそり手をつないだこともあるし、ご飯だって手をつなぎながら食べられる。左利きって案外悪くない。いや、素晴らしい個性だ。

□ でも…なんだかんだ言って、左利きでよかった。

文=いのうえゆきひろ